税務調査官が調査対象会社に出向いて行う調査はこの2日間で終わりです。
「今後の連絡はすべて会計事務所にお願いします」と調査官に申し入れてありますので、後は税務署と会計事務所との間での連絡となります。
その10日後に、税務署から連絡がありました。
●税務署
「いろいろな観点から詰めてみたところ、一応の数字が出ましたので、納税者の方と一緒に御来署ください」
納税者と一緒に約束の日時に税務署に向かいました。
●税務署
「やはり売上が相当漏れているみたいですね」
「麺の仕入高および数量から推計した毎月の売上高と実際に決算で計上してある毎月の売上高とを比較した表がこれです」といって税務署が作成した資料を渡されました。
その資料を見ながら、麺の仕入から売上高を推計した計算方法を説明します。
「結論として1年間で約300万円、3年間にするとおよそ1千万円実際の売上の計上が少ないと思われます」
■会計事務所
「え、そんなにですか?」
▲納税者
「そんなに払えないですよ」
■会計事務所
「そんなに売上をごまかしているなんて考えられないですよ」
「あくまで推計といっても、こんな金額になるはずないと思いますが」
●税務署
「いや、こちらは粗利益率や麺の仕入額という客観的な数値から売上を推計したものですから、なにも恣意的な数字ではありません」
「いずれにしてもここで押し問答しても仕方ないですから、この資料をお持ち帰りいただいて、よく検討してみてください」とあっさりと言われました。
納税者の方と税務署を後にしましたが、歩きながらもお互いしばし無言で「これは参ったな」という感じでした。
▲納税者
「そんな多額な額を漏らしているなんて考えられないですけどね」
■会計事務所
「あれはあくまで利益率等から推測した額ですから」
「私も店長がそんな多額の売上金を自分のポケットに入れたなんて考えられないと思いますよ」と言いつつ、頭の中では次のような計算をしていました。
「年間300万円で営業日数が300日とすると、1日当たり10,000円の売上となります。おそば15人前。そう考えると、やろうと思えばできる額だな・・・・」
To be continued.
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