☆質問
「私は小さな会社を経営していますが、この不況下で業績が思わしくありません」
「もう会社をやめようと思っているのですが、会社に多額の貸付金があります」
「もう返してもらうこともできない状況です」
★回答
「そうですか、大変ですね」
☆質問
「会社に対する貸付金は、このままでは相続財産の対象になってしまうようなので放棄することを考えています」
★回答
「なるほど」
「あなたが会社に対する債権を放棄すると会社で債務免除益が計上されますが、繰越欠損金はありますか?」
☆質問
「税務上の繰越欠損金は1,000万円しかありません」
「放棄する貸付金は3,000万円です」
★回答
「今期債権放棄すると3,000万円の債務免除益が計上され、その内1,000万円は繰越欠損金で相殺できますが、残りの2,000万円の所得が出てしまいます」
☆質問
「そうすると法人で多額の税金が生じますね・・・」
「そんなお金は会社にありませんので、どうにかなりませんか?」
★回答
「もう会社はやめるという前提でよろしいですか?」
☆質問
「ええ、もう会社は閉めます」
★回答
「会社は現在債務超過の状態だと思いますが、債務超過額はどのくらいになりますか?」
☆質問
「4,000万円くらいです」
★回答
「そうであれば会社をまず解散させて、その後に貸付金の放棄をした方が節税になります」
☆質問
「そうすると、債務免除益に税金がかからないのですか?」
★回答
「債務超過相当額までの、つまり4,000万円くらいまでの債務免除益であれば清算所得が発生しませんので、納税はありません」
☆質問
「は~そうなんですか・・・」
★回答
「会社が解散すると、その会社は清算中の会社となります」
「清算中の会社の清算所得は、清算結了により確定した残余財産の価額から解散時の資本等の金額及び利益積立金額等を控除して計算されます」
「債務超過の状態ですと、解散時の利益積立金額等はマイナスとなっていますが、清算所得の計算上はこれをゼロとして計算することになっています」
「すると、税務上の繰越欠損金の額にかかわらず、解散時の債務超過の額までの債務免除益であれば、清算所得は計算上発生しないのです」
チョッと難しい計算になるのですが、要は「債務免除益を計上するのであれば、解散決議後にした方が節税になる」ということです。
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