週刊節税教室

平成21年度税制改正大綱(5)

相続税
第355号 2009/2/17

☆質問

「相続税関係の改正について教えてください」

★回答

「株式市場に上場されていない中小企業の株式、これを取引相場のない株式等といいますが、相続に当たっては換金性に乏しく相続税の納税に苦慮しているのが現実です」

「また、相続人には遺留分という最低限保証された相続する権利があるため、取引相場のない株式等を、会社の経営を承継する相続人が、独占的に相続して保有するすることが困難な状況に陥ることがありました」

☆質問

「それでは、中小企業の円滑な事業承継ができないですよね?」

★回答

「そのとおりです」

「ですので、昨年の税制改正で、取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度が創設されました」

☆質問

「経営承継相続人が相続した故人の会社の株式(発行済議決権株式等の3分の2まで)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予するという制度ですね?」

★回答

「そのとおりです」

「一定要件を満たせば、納税の猶予から納税の免除になります」

☆質問

「中小企業の経営者には朗報でした」

★回答

「今回の改正では、さらなる朗報があります」

☆質問

「え~何ですか?」

★回答

「取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度が創設されました」

☆質問

「今度は贈与税の納税猶予ですか?」

★回答

「後継者が会社を経営していた親族から、保有株式等の全部(納税猶予の対象となるのは発行済議決権株式等の3分の2まで)を取得して、その会社を経営していく場合に、その贈与税の全額の納税を猶予するというものです」

☆質問

「自社の株式を生前贈与しても、その贈与税の納税が猶予されるなんて画期的な制度ですね?」

★回答

「当然適用要件に当てはまらなければ制度の恩恵を受けられませんが、中小企業の経営者にとっては朗報です」

☆質問

「株式を贈与した経営者が死亡した場合にはどのような扱いになりますか?」

★回答

「贈与された株式等は、これを経営者の相続により取得したものとみなして、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税額を計算します」

☆質問

「この場合、初めに説明した取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度を適用することはできるのですか?」

★回答

「経済産業大臣の確認を受けた場合には、適用できることになっています」

☆質問

「贈与税と相続税の両方の納税が猶予されるのですね?」

★回答

「そのとおりです」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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