週刊節税教室

150億円所得隠し

法人税・所得税
第315号 2008/2/18

☆質問

「今日の新聞に、前橋市長実兄経営の2社150億円所得隠し、とあり

ました」

「債務免除益が計上されていないとか書いてありましたが、意味がよ

く分かりません」

★回答

「新聞に書かれていたのは、経営していた2社の業績が思わしくなく、

金融機関などからの借りていた借入金を150億円ほど債権放棄して

もらったということです」

☆質問

「金融機関から債権を放棄してもらうということは、借りている借入

金がないことになり、もう返済しなくてもよいということですね?」

★回答

「そのとおりです」

「債権を放棄した金融機関は、その分損をしたわけですから経理上、

貸付金を貸倒損失として損金で計上します」

「銀行はその分税金が安くなります」

☆質問

「債権を放棄された会社は、借入金をどのように経理処理するので

すか?」

★回答

「借りているお金が返済不要になったので、借入金を債務免除益と

いう益金で計上します」

☆質問

「会社が益金を計上するということは、税金がその分かかってくると

いうことですね?」

★回答

「そのとおりです」

☆質問

「だから会社は債務免除益を計上しなかった?」

★回答

「そうですね」

「税務署は、本来金融機関が債権を放棄した時点で会社は債務免除

益を計上する必要があったとして課税したのです」

「そして、単に計上しなかっただけでなく、まだ会社に債務が残ってい

るように仮装隠蔽したとして、重加算税の対象としました」

☆質問

「借入金が免除されたら会社が得をしたわけですから、素直に債務免

除益を計上しろということですね?」

★回答

「そうです」

「貸した方が損を出して、借りた方が益を出さないのでは、片手落ちで

すから」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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