週刊節税教室

個人事業の必要経費

所得税
第283号 2007/6/18

☆質問

「私は、個人事業を営んでいます」

「個人事業ですと、家事上の経費と事業における必要経費との区分が

よくわかりません」

「どのように区分したらよいのですか?」

★回答

「個人事業においては、確かに家事と事業とがオーバーラップするケ

ースが多く、どこまでが家事経費で、どこまでが事業経費でであるかが

分かりにくいですね」

☆質問

「税法ではどのように規定されているのですか?」

★回答

「家事上の経費に関連する経費のうち、不動産所得、事業所得を生む

ための業務遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分の金

額については必要経費に算入できる、としています」

☆質問

「なるほど、個人事業に使った部分が明らかにされれば必要経費とし

てもいいよ、ということですね?」

★回答

「そうです」

☆質問

「税務での感覚を知りたいのですけれども、例えば店舗併用住宅で、

光熱費を住宅用と店舗用に分けるにはどのようになりますか?」

★回答

「裁判例では、次のような判決が出ています」

「時計眼鏡の修理販売業で、電灯11個のうち営業用に8個使用し、店

舗において電動工具を使用し、昼間も電灯を使用している実態から、電

灯料の3分の2を必要経費とする」

☆質問

「店舗併用住宅を賃借している場合の家賃はどのようになりますか?」

★回答

「裁判例で次のような判決が出ています」

「理髪店で14坪のうち店舗で7坪を使っているから家賃の14分の7が

必要経費となる」

☆質問

「自宅の電話を事業でも使っている場合はどうですか?」

★回答

「これも裁判例があります」

「インテリア販売業で、自宅の電話の利用料金から見ると、家族の日常

的な使用を明らかに超えて事業で使用していたとは認められず、仮に事

業で使っていたとしてもこれを区分特定することができないので、家庭用

電話代金については必要経費にすることはできない」

「ちょっと厳しい判決ですね」

☆質問

「ロータリークラブの会費も必要経費にならないと聞いたのですが?」

★回答

「そうですね」

「ロータリークラブやライオンズクラブの活動は個人事業とは直接的に結

びつかない活動として必要経費としては認められていません」

☆質問

「私と事業専従者である妻との慰安旅行もだめですか?」

★回答

「はい」

「通常の家族旅行と同等の性格を有するために必要経費に算入できま

せん」

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今月は「減価償却が変わりました 」と「従業員を雇用したら何をする?」を解説をしています。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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