☆質問
「私が経営している会社の業績が思わしくありません」
「私が会社に貸し付けている貸付金を現物出資して、会社の借入金を減らそ
うかと思いますが、どうですか?」
★回答
「役員が会社に貸し付けている貸付金を現物出資して、資本を増加させるこ
とを債務の株式化(DES)と言います」
☆質問
「債務の株式化ですか?」
★回答
「会社に貸し付けている貸付金は、会社から見れば借入金、つまり債務な
のです」
「逆に貸し付けている役員は会社に貸付金という債権を持っているのです」
「あなたが貸付金を現物出資すると、貸付金が消滅する代わりに会社が発
行する株式を所有することになります」
「会社からみれば、借入金という債務が資本に代わったことになります」
☆質問
「それで債務の株式化というのですか」
「なるほど」
「この債務の株式化をDESとも呼んでいますが、それはどうしてですか?」
★回答
「会社の借入金(Debt)を資本(Equity)と交換(Swap)するので、それらの
頭文字を取ってDESと呼んでいるのです」
☆質問
「なるほど」
「では、私の考えている債務の株式化は税務上も問題なくできるのです
か?」
「単に会社の借入金が資本に入れ替わるだけですから、問題ないような気
がするのですが・・・」
★回答
「そうなんです」
「会社に赤字がたくさんある状態で、借入金を資本に振り替えても、18年度
の税制改正前は税法上の特別な定めがなかったことから、借入金が減少
し、同額資本が増加するだけで税金に影響がありませんでした」
「しかし、会社法改正に伴う税制改正で、この取扱が変わりました」
☆質問
「どのように変わったのですか?」
★回答
「例えば、借入金額が500万円とした場合、以前はこの借入金を資本金に
振り替える、つまり資本金を500万円増やす処理をしていました」
「しかし改正後は、まず借入金500万円の実際の価値を評価して、その評
価額で資本金を増額させることになったのです」
☆質問
「借入金の価値を評価するのですか?」
★回答
「そうです」
「会社が大赤字の状態で、役員からの借入金があったとしても、とてもそ
の借入金を返済できないですよね」
「つまり役員からしてみても、会社がそんな状態では貸付金の回収可能性
は極めて低いことになるわけです」
☆質問
「なるほど」
「借入金の実際の価値は低下しているということですね」
「では、帳簿価額500万円の借入金の実際の価値が50万円であるとした
場合は、どのような計算になるのですか?」
★回答
「500万円の借入金がゼロとなって、資本金が50万円増えます」
☆質問
「500万円と50万円の差額は何になるのですか?」
★回答
「債務免除益という売上と同じ益金になってしまいます」
☆質問
「つまり、それに対して税金がかかってきてしまうということですか?」
★回答
「そのとおりです」
「ですから安易にDESを使えなくなってしまったのです」
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