令和 6 年度税制改正により、経営セーフティ共済(倒産防止共済)の契約を解除して 2 年以内に再加入して拠出した掛金は損金算入できなくなりました。
令和 6 年 10 月 1 日以後の共済契約の解除について適用されます。
倒産防止共済は、取引先が倒産した際の連鎖倒産を防ぐために創設された制度です。掛金月額は5,000 円~20 万円まで自由に選べ、法人や個人が支出した掛金はその事業年度の損金又はその年
の必要経費に算入することができます。
掛金は 800 万円まで積み立てることができ、40か月以上掛金を納めていれば、解約手当金として全額戻ってきます(返戻時の益金算入)。
現在、約 62 万の事業者が加入しています(令和 5 年 3 月末現在)。
改正前は、法人等が拠出した掛金は支払日の属する事業年度で損金算入可能で、契約解除後に再加入して拠出した掛金も損金算入することができました。
従来、解約手当金の支給率が 100%となる、加入後 3 年目、4 年目に解約が多くなりますが、近年その傾向が顕著で、直近では約 33%が 3 年目、4 年目に解約しているとのこと。さらに再加入者のうち 2 年未満に再加入する者は約 8 割を占めているようです。
このように、本来の制度趣旨と異なる節税目的の利用があったため、令和 6 年度税制改正で手当てがされました。
前述の倒産防止共済のような改正はありませんが、他の共済制度についてご紹介します。
小規模企業共済は、小規模企業の役員、個人事業主などのための積み立てによる退職金制度です。掛金月額は1,000円~7万円まで自由に選べ、支払った金額は年末調整や確定申告において全額を課税対象となる所得から控除することができます。
なお、共済金の受取りは一括・分割どちらも可能であり、一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなるため、受取時の税制メリットもあります。
現在、約 162 万人が加入しています(令和 5 年3 月末現在)。
中小企業において単独では退職金制度をもつことが困難である実情を考慮して、国が作った従業員の退職金制度です。
掛金は全額事業主が負担し、全額を損金又は必要経費に算入することができます。また、初めて中退共制度に加入する事業主に対しては、加入後4 か月目から 1 年間、国が助成してくれます。
現在、約 38 万の企業が加入し、加入している従業員は約 360 万人となっています(令和 6 年 4月末現在)。
倒産防止共済について解約し再加入をご検討の場合には、9 月末までに解約する必要がありますので、なるべくお早めにご検討ください。
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