5 月 27 日付、日本経済新聞の 1 面に、「新型株式報酬 税負担増も」という記事が掲載されました。その後、30 日に国税庁は「ストックオプション(SO)に対する課税(Q&A)」を公表。
企業側は株式売却に対して 20%の税金がかかると認識している場合が多いのですが、国税庁は給与として最大で 55%の税金がかかることを示しました。
導入している企業は上場企業を含め、スタートアップ企業など約 800 社。すでに権利行使した企業は約 20 社で、今回のQ&A公表による影響額は企業によっては 30 億円とも言われています。
今回話題になっている「信託型」は、株価が安い時期に有償で発行した株式購入権を「冷凍保存」し、後から入社した社員に付与する形です。
税務処理としては、購入権を株式に転換した際(行使時)ではなく、株式を市場に売却した際に譲渡所得として課税されるとの認識でした。
他方、国税庁は「従来から行使時に給与課税」とした上で、「会社が役職員にSOを付与していること、役職員に金銭負担がないこと等の理由から、権利行使した段階での経済的利益は労務の対価に当たり給与課税」との認識を示しました。
「信託型」も要件を満たせば、税制適格SOに該当するとのこと。では、税制適格SOとは何でしょうか?
SOの付与契約において、主に次に掲げる要件(税制適格要件)が定められている場合には、そのSOを行使して株式を取得した日の給与課税を繰り延べ、株式を売却した日の属する年分の株式売却益として所得税の課税対象とすることとされています。
未上場株式については株価算定ルールが明示されていないこともあり、税制適格SOは要件を満たすことが難しいとの指摘がなされていました。
この点、Q&Aの公表と同時に意見募集(6 月29 日まで)が開始された通達改正案では、純資産価額を使った算式で問題ない旨が明確化されました。
通達改正案は意見募集を踏まえ、7 月中には公表される見込みとのことですので、今後の動向に注視したいと思います。
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