世の中には数多くの宗教法人が存在します。文化庁のデータによると平成 29 年において 18 万以上の宗教法人が存在します。この宗教法人と税金についてみていきます。
宗教法人の収入は原則として非課税となります。法人税が課税されるのは宗教法人が収益事業を行った場合だけです。法人税法では 34 の業種を収益事業として列挙しています。
物品販売業、不動産貸付業、請負業、出版業などといった具合に収益事業を定めています。
お守りやお札の販売は、物品販売業にあたって収益事業のようですが、収益事業には該当しません。その売価と仕入原価との関係からみて、その差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく、実質的な喜捨金と認められるような場合のその物品の頒布は、収益事業には該当しません。
この理屈だと、宗教法人がぼったくりバーをやったらどうなるのでしょうか・・・
一般の物品販売業者においても販売されているような性質の絵はがきやキーホルダーなどを通常の販売価格で販売する場合には、その物品の販売は収益事業に該当するとのことです。
なお、線香やろうそく、供花などの頒布であっても、専ら参詣にあたって神前、仏前等に捧げるための販売は収益事業に該当しません。
宗教法人が所有する宿泊施設に信者等を宿泊させて宿泊料を受ける行為は旅館業として収益事業に該当します。しかし。宗教活動に関連して利用される簡易な共同宿泊施設での低額の宿泊料(一泊 1,000 円以下、2 食付きで 1,500 円以下)は収益事業に該当しないとのことです。
宗教法人が神前結婚等の挙式を行う行為で、本来の宗教活動の一部と認められるものは収益事業に該当しません。
しかし、挙式後の披露宴における宴会場の席貸し、飲食物の提供、衣装等の貸付、写真撮影等は収益事業に該当します。
宗教法人が行ったペット葬祭事業が収益事業だとする裁判例があります。その理由は、その寺院が依頼者のために「料金表」をインターネットで公表していたからです。つまり、支払う金額があらかじめ決まっていたら、それは「対価」で収益事業になるということです。判決では、ペット供養の納骨は「倉庫業」、ペット供養の法要は「請負業」であるとされました。
非課税にするなら料金を決めずに、あくまでも「お気持ち」から拠出していただいたものでなければならないのです。宗教法人が戒名等の料金を明確にしない理由はここにあるということです。
無断転用・転載を禁止します。