会社に出社しないで自宅でリモートワークをする在宅勤務が、このコロナで日常となりました。
国も在宅勤務を7割とする目標を掲げています。
家で仕事をするわけですから、当然仕事をする上での費用が発生します。パソコン、インターネット接続料金、電気代等の費用です。これらは会社で負担してもらうべきものですが、その税務上の取り扱いについて説明いたします。
自宅で仕事をするにはパソコンが必須アイテムとなります。会社で使っていたパソコンをそのまま自宅に持っていく場合は、何も費用負担は発生しませんが、会社が自宅用にパソコンを購入して社員に支給した場合はどうでしょう?「仕事で使って、あとはご自由に」という場合は、パソコンの購入代金が社員への給与となります。一方、「仕事のために貸与しますので、仕事で使わなくなったら返してください」という場合は、給与課税はされません。
在宅勤務手当は、自宅で仕事をするにあたって生じる費用の補填を目的とした手当です。1日当たり 150 円とか、月額 4,000 円といった感じで給与支給時に支給されます。
この在宅勤務手当ですが、給与とともに支払って、そのまま渡し切りということであると給与として課税されます。
給与として課税されないためには、手当を渡し切りではなく、在宅勤務で生じた費用を社員ごとに報告させて、会社が業務で使用した社員の在宅費用を把握する必要があります。
自宅で仕事をして、毎月の電気代のうち仕事で2,800 円、私用で 3,200 円というように計算することなんて到底できません。そこで遅ればせながら国税庁も在宅費用の簡便的な取り扱いを1月15日に発表しました。在宅手当のうち、業務で使用した費用の額までは給与課税されません。
まず、通話料については、通話明細で判明する業務に使った通話料は当然業務のための費用、それ以外の通話料と基本使用料は、次の算式で求めた金額を業務で使用した費用とします。
(基本料、通信料) × 在宅勤務日数 × 1/2 その月の日数 =業務で使用した通信費等なお、この式で電話の通話料を計算することができるのは、仕事で電話をする機会が多い業務として会社が認める社員だけとのことです。
自宅の電気料金については次の算式で求めた金額を業務のために使用した費用とすることができます。
(基本料、電気使用料)×業務使用自宅床面積 自宅床面積 × 在宅勤務日数 × 1/2 その月の日数 =業務で使用した電気使用料等今回のテーマは納税の猶予となりますが、まずは、税金を納付するまでの過程はどのような流れになるのかを確認します。
国税の納税義務については、納税義務の成立→確定→消滅、という流れになります。3 月決算の会社が納付する法人税を例に挙げると、次のとおりです。
以上のような流れとなるため、上記②の確定がなければ、税金の納付はなく、また、徴収されることもありません。
国税をその納期限までに納付していない場合には、納付するまでの日数に応じて延滞税というペナルティがかかるほか、督促状の送付を受けてもなお納付されないと、財産の差押えなどの滞納処分を受けることがあります。
そこで、これを回避するための制度として、国税の猶予制度というものがあります。
国税の猶予制度は、期限内の納税が難しい場合に、申請により税務署長の承認を受けて、期限後に納税ができるようになる制度です。
この猶予制度は従来、次の①、②の 2 つがありますが、令和 2 年 4 月 30 日の新型コロナ税特法の成立・施行により、コロナの影響により収入が大幅に減少している方に向けて、③が創設されました。
令和 3 年 1 月 14 日に国税庁が公表した内容によると、令和 2 年 4 月 30 日から 11 月 30 日までに特例猶予が許可された件数は 250,521 件、税額は1兆575億5,900万円もの金額となっています。
平成 30 年 7 月から令和元年 6 月までの既存の猶予制度が許可された件数が 41,871 件、税額は694 億 8,700 万円であることから、コロナ禍により、大幅に増加したことがわかります。
令和 2 年 2 月 1 日から令和 3 年 2 月 1 日に納期限が到来する国税については、次の①、②のいずれも満たせば、申請(猶予を受けたい国税の納期限まで)が可能です。
特例猶予が認められれば、延滞税全額免除で 1年間納税が猶予されます。
なお、今回ご紹介した内容は国税に関するものですが、地方税や社会保険料についても同様の制度が設けられています。
以上、申請をご検討される場合には担当者までお問い合わせください。
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