税務署とは、所得税・法人税・相続税・消費税などの国税を取り扱う国の機関です。サラリーマンは勤めている会社がすべての税金手続の代行を行うため、税務署と接する機会は少ないのですが、事業者は税務申告や税務調査で関わりが多くなります。
会計事務所に勤めていた35 年くらい前では、税務調査で調査官と一緒に昼食を食べたり、調査官にいろいろな面でお世話になったときに、調査官に届け物を持って行ったりしていました。また、税務署のOB でフィクサーというような仕事をしている税理士もいました。
しかし、国家公務員倫理法が施行されてからは、これらのおおらかなことは一切できなくなりました。調査時に我々と昼食を一緒にすることは一切ありませんし、税務署OB の影響力もなくなりました。
税務署の上部組織が国税局で、国税局の上部組織が国税庁です。つまり国税庁→国税局→税務署という組織機構となっています。この組織のトップは国税庁長官で、森友事件で話題になった佐川国税庁長官が在任中は「税務調査がやりにくかった」と現場の調査官がこぼしていました。
国税庁の下にある組織が国税局です。全国に11の国税局と沖縄国税事務所があります。東京国税局は、千葉県・東京都・神奈川県・山梨県に所在する税務署を管轄しています。東京の隣の埼玉県は、関東信越国税局が茨城県・栃木県・群馬県・新潟県・長野県とともに管轄しています。
国税局には調査部という部署があり、大規模法人を所管しています。基本的に資本金1 億円以上の法人については国税局調査部が所管し、1 億円未満の法人は税務署が所管するようですが、実際には資本金1 億円以上の法人でも税務署が所管しているケースが間々あります。
いわゆるマルサの部署が査察部です。悪質な脱税者を摘発し、検察当局に告発するという事務を担当しますので、査察に入られた事業者は大変なことになります。査察に入られた事業者の顧問税理士も原則として取り調べを受けますので大変です。
高校を卒業して税務職員採用試験を受けて税務職員になるルートがあります。
国税専門官採用試験を受けて税務職員になるルートもあります。この試験は大卒者の受験者が多くなっています。
経験者採用試験を受けて税務職員になることもできます。大学等を卒業、または大学院の過程等を終了してから8 年を経過した人が受験できる試験です。職務経験が必要となります。実際に調査の現場で、元会計事務所員であった調査官がいました。この試験を経て採用されたようです。
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