アトラスNEWS ~Monthly 税務・経営・節税情報~

今話題の闇営業

第303号 2019年8月

1.はじめに

少し前のテレビでは、吉本興業の話題ばかりでした。どのチャンネルをかけてもこの話題ばかりで辟易していました。そこに全英女子オープンで渋野選手が優勝して、どのチャンネルをかけても渋野選手一色です。こちらは何度見てもよいものです。

2.闇営業とは?

闇営業とは、通常は所属する芸能事務所を通して仕事をしますが、芸能事務所を通さないでクライアントから直接仕事を請け負うことをいいます。

3.サラリーマンが闇営業したら?

サラリーマンは、労働者であることから会社の就業規則に従う必要があります。一般的な就業規則には「従業員は会社の許可なく、副業をしてはならない」と定めています。サラリーマンが会社の許可なく副業をすると規則違反になってしまいます。

4.芸人は労働者ではない

芸人は個人事業者で、芸能事務所とはマネジメント契約を締結して、仕事をあっせんしてもらいます。芸人は、芸能事務所の就業規則に縛られるのではなく、マネジメント契約の内容に縛られることになります。

マネジメント契約でも、「事務所の許可なく、第三者のために芸能行為をしてはならない」と定められているので、闇営業はマネジメント契約違反となります。

5.芸人のギャラ

個人事業者である芸人は、もらったギャラを売上高として計上し、ギャラをもらうために支払った必要経費を計上して所得税の確定申告をします。

闇営業でもらったギャラも当然、その年の確定申告に含めて申告する必要があったわけです。

6.20 万円以下は申告不要?

一部の報道では、闇営業でもらったギャラで 20万円以下のものは、確定申告する必要がないとありました。しかし、これは芸人が給与所得者で、給与所得以外の所得が 20 万円以下であれば確定申告をしなくてもよいとする扱いです。個人事業である芸人には当てはまりません。

7.ギャラを支払った側の税務

闇営業でギャラを支払った側が、源泉徴収義務があれば、個人の芸人に支払ったギャラから一定割合の金額を源泉徴収して納税する必要があります。

また、支払ったギャラをその団体の経費として計上するのであれば、芸人から現金で支払ったギャラに対する領収書をもらう必要があります。

8.上場していない

吉本興業は、2009 年まで上場会社でしたが、現在は非上場です。多くのテレビ局が株主として名を連ねています。2009 年の売上高は 488 億円でしたから、かなりのものです。渋野選手のように、世の中を楽しく明るくしてくれるような会社になってもらいたいですね。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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