税制改正大綱が12 月14 日に発表されましたので、主のものを以下説明いたします。
給与収入から控除できる給与所得控除が一律10 万円引き下げられ、給与収入850 万円超で控除額は195 万円で上限となります。現行は給与収入1,000 万円超で220 万円が上限ですからかなりの増税となります。
ただし、特別障害者や23 歳未満の扶養親族等がいる場合には増税負担額が軽減されます。
サラリーマンでも自営業者でも所得から控除できるのが基礎控除で、一律10 万円の増額で減税となります。ただし、所得金額が2,500 万円を超えると基礎控除はゼロで増税になります。
公的年金から控除する金額で、控除額を一律10万円引き下げ、年金収入が1,000 万円を超えると195 万5 千円の上限が設けられました。現行は上限がありません。また、公的年金以外の所得が1,000 万円を超えると、控除額が更に10 万円減額され、2,000 万円を超えると20 万円減額され、増税となります。
個人で青色申告をしている場合の特典である青色申告特別控除が、e-Tax で確定申告しないと控除額が10 万円減額され、増税となります。
(上記1~5 の改正は平成32 年からとなります)上記1~5 の改正は平成32 年からの適用となります。
非上場会社の株式を後継者に贈与したり、相続した場合に、それらにかかる贈与税や相続税の納税を後継者が亡くなるまで猶予し、免除するという制度です。
猶予される税額が全株式に拡大され、後継者の範囲も広がり、かなり利用しやすくなりました。 平成30 年4 月1 日からの適用です。
中小企業の場合、従業員の給与支給額が前年度に比べて1.5%以上増加している場合に、増加額の15%(一定の要件で25%)の税額が控除されます。大企業の場合は、給与支給額が前年比3%以上増加し、かつ一定の設備投資をすることが条件になっています。
株式会社の株式は相続税の対象になりますが、一般社団法人には「持ち分」の概念がなく、相続税の対象になりません。それで、親が生前に一般社団法人を設立して財産を移転し、その後、子に代表を継がせて相続税を逃れるスキームがあります。
また、相続で取得する親の土地の評価を5 割や8 割減らす特例を適用するために、子が所有する建物を身内に売却してそのまま住み続けたりする相続税対策も行われています。
これらの行き過ぎた相続税対策を封じる改正も盛り込まれています。
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