会社は営利を追求する組織体です。利益を生み出すために会社が負担するものは経費として税務上認められます。仕入代金、人件費、家賃、交通費、通信費、交際費などが代表的なものですが、中には「これって会社が負担して経費になるの?」というものもあります。それらを今回は解説します。
得意先を接待する等の目的でゴルフ会員権を会社で購入した場合には、購入に伴う入会金、名義書替料、預託金、手数料等の支払は、会社の経費とすることはできません。「ゴルフ会員権」という科目で建物などと同じく資産として計上します。
プレイ代金や年会費などは交際費として経費で計上することになります。
リゾートマンションや戸建ての別荘を福利厚生目的で会社で購入することはよくあります。購入代金は土地と建物に分けて資産計上します。仲介手数料もあれば、それも土地と建物に振り分けて資産計上します。
会社で購入した別荘は、特定の人だけが利用するのではなく、会社の人であれば誰でも利用できることが必要です。別荘の管理費や固定資産税、水道光熱費などは会社の経費となります。
会社所有の福利厚生目的の別荘は、地方税法上は「寮等」に該当しますので、最低年間7 万円の均等割りという税金を支払う必要があります。
会社の特定の人しか利用できないスポーツクラブの会費を会社が負担しても、その負担額はその人への給与として課税されてしまいます。
会社の経費となるには、役員でも社員でも誰でもそのスポーツクラブを利用できる制度が必要です。スポーツクラブを1 回数百円で利用できるチケットを法人が購入して、希望者が誰でも利用できるような仕組みであれば問題ないでしょう。
いわゆる社葬ですが、役員であった故人の会社への貢献度に照らして、社葬を行うのが社会通念上相当と認められるときは、社葬費用を会社の経費とすることができます。費用は福利厚生費で処理します。
社葬でも香典は生前故人と親交のあった人が遺族に対して哀悼の意を表したものですので、会社の収入にする必要はなく、遺族にそのまま渡します。
役員の社葬が経費になるのなら役員の結婚式の費用も経費になるのでは?と考えますが、経費になりません。社葬は死亡した役員の生前の功労に対する最後のはなむけとして会社がその費用を負担して挙行する会社の行事ですが、役員の結婚式は、役員個人の私的行事であり、来賓が会社の取引先や同業者がほとんどであっても、それは役員の社会的地位に基づくもので、結婚費用を会社が負担する理由にはならないのです。
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