新聞に「不動産鑑定士、10 年で受験者 3 分の 1に」とありました。世の中の景気がよくて学生の就職率がよい時には国家試験の受験者は減少し、景気が悪くなって就職率が悪化すると国家試験の受験者は増える傾向にありますが、この 10 年で受験者が 3 分の1とは驚きです。各士業の仕事の内容と、受験者数を見てみましょう。
不動産鑑定士の独占業務は、不動産の鑑定評価となります。国から委託される地価公示価格の算定、銀行が融資する場合の不動産の担保価値の算定などが主な業務となります。
平成 18 年度の受験者数は 4,605 人、合格者数94 人、平成 28 年の受験者は 1,568 人、合格者数103 人と受験者が激減しています。
受験者は不動産会社などの勤務者が多く、会社が資格取得補助などを縮小したことが響いているようです。
弁理士の独占業務は、主に特許、実用新案、意匠、商標の特許庁に対する出願業務です。
平成 18 年の受験者数は 9,348 人、合格者数 635人、平成 28 年は受験者 4,211 人、合格者 296 人と半減しています。
特許出願件数は平成 18 年で 408,674 件、平成27 年で 318,721 件とかなり減少しています。全世界的に特許出願件数は増加の一途を辿っていますので、日本での出願件数の減少はチョット心配ですね。
社会保険労務士の独占業務は、社会保険及び労働保険に関する書類等の作成及び提出手続き代行業務です。
平成 18 年の受験者は 46,016 人、合格者 3,925人、平成 28 年は受験者 39,972 人、合格者 1,770人で、受験者も減少していますが、合格者の減少が甚だしく、半分以下になっています。合格率が4.4%で試験が難しくなっています。
司法試験は、試験制度が平成 18 年から変更になったため単純な比較はできませんが、合格者は平成 18 年が 1,009 人、平成 20 年から倍の 2,000人を超えました。しかし平成 28 年では 1,583 人と減少に転じています。意図的に弁護士を増やしたのですが、それほど需要がなかったということで合格者は減少傾向のようです。
税理士の独占業務は、税務代理・税務相談・税務書類の作成です。平成 18 年の受験者は 54,203人、合格者 1,126 人、平成 28 年の受験者は 35,589人、合格者 756 人といずれもかなり減少しています。
公認会計士の独占業務は、監査証明業務です。
平成18年の受験者は16,210人、合格者3,108人、平成 28 年の受験者は 8,644 人、合格者 1,108 人といずれもかなり減少しています。
会計士就職難の時代がありましたから、減るのも頷けます。
無断転用・転載を禁止します。