名門と言われるゴルフ場のメンバーの平均年齢が68 歳と言われています。これでは年々ゴルフの競技人口は減るばかりで、実際に年間約10件のゴルフ場が廃業したり、太陽光発電の基地に衣替えをしています。
このような厳しさを増すゴルフ場経営ですが、生き残りを賭けて様々な工夫をしています。
ゴルフ場建設の資金集めの方法として、大きく株主会員制度と預託金会員制度があります。
前者は会員が経営母体となる法人に金銭を出資して株主として会員になる方法です。
後者は会員が経営母体となる法人に金銭を預託する、つまり金銭を預けることにより会員となる方法です。
ゴルフ場の経営母体は、株主会員に対しては出資金の返還義務はありませんが、預託金として集めたお金は一定期間経過後に会員に返還することが必要になります。倒産の憂き目に遭っているのが後者の預託金制度で、株主会員制はほぼ生き残っています。預託金制度のゴルフ場においては、一度に預託金を返還をすることが困難な場合、預託金を出資金に振り替えたり、分割払いにしたり、抽選によって預託金を返還するケースもあります。
ゴルフ場が自前でレストランの運営をすると、調理人や配膳人の雇用、食材等の仕入をすべてゴルフ場で行わなければなりません。そうするとそれらは固定費となり、天候次第では客の入りが悪く採算割れをするリスクもあります。そこで、レストランの運営を外部に委託して、固定費を削減するとともに、採算割れリスクも排除し、かつ運営委託先からレストラン設備の利用料を毎月収入して安定収入源とする方式も採られています。
クラブハウス内の清掃やタオルや櫛等のリネンの管理も外部委託するゴルフ場が増えています。人件費より外部委託費の方が安価であるという選択です。
ゴルフコースの維持・メンテナンスも外部委託しているケースもかなりあるようです。これも常時作業員を雇用するより、必要に応じて外部委託する方がお得ということでしょう。
キャディをすべて廃止して、セルフだけのゴルフ場が増えています。また、社員としてのキャディを止めて、すべてキャディを派遣会社に委託しているゴルフ場もあるようです。来場者の数に応じてキャディ費用を変動費として売上に対応させようとする考えです。
ゴルフ場の経営が厳しくなっていくことは誰しも認めていることであるからこそ、各ゴルフ場は経営に知恵を絞っています。設備産業で固定費の塊のような業態が、いかに売上の減少に対応できるよう、固定費を変動費化することに注力していることが分かります。
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