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23年6月の税制改正

第206_1号 2011年7月

1.はじめに

本来、今年の3月末に国会で審議可決される予定であった、平成23年度の税制改正法案が、震災の影響でそれどころではなくなり、この6月末で改正案の一部を分離した形で成立しました。

2.年金所得者の確定申告

年金収入400万円以下で他の所得が20万円以下の場合に、確定申告不要制度が創設されました(23年分から)。

3.法人の仮決算による中間申告

前年の税額の2分の1を中間時点で納税する予定申告に代えて、仮決算をして中間申告をすることができます。改正により前年の税額の6か月分相当額を超える税額が出る仮決算による中間申告はできなくなりました。

4.消費税事業者免税点制度

現行の消費税法では、前々年度の課税売上高が1,000万円以下であれば、その年度は消費税の免税事業者になります。

この免税事業者の前年度の上半期における課税売上高又は給与等の支払総額が1,000万円を超えるときは、免税事業者でなくなる改正がありました。この改正は、25年1月から適用されますので、個人事業者の場合及び12月決算の法人は、24年1月~6月の課税売上高又は給与等支払総額が、1,000万円を超えると25年度から課税事業者になります。

5.仕入税額控除制度の改正

全売上高に占める消費税のかかる売上高の割合である課税売上割合が95%以上の場合、仕入等で支払った消費税額を売上等で預った消費税から全額控除して消費税納税額を計算できます。この取扱いは、その課税期間の課税売上高が5億円以下の事業者に限定されることになりました。24年4月1日以後開始課税期間から適用されます。

6.店頭デリバティブ取引

個人のFX店頭取引で利益が出ると雑所得として他の所得と合算されて課税され、損失が出てもその損失を繰越すことができません。しかし、24年の取引から取引所取引と同じ扱いとなり、20%の申告分離課税でかつ3年間の損失の繰越ができるようになります。

7.認定NPO等に対する寄附税制

認定NPO等に対して寄附をした場合、(寄付金-2,000円)×40%の額を所得税額から税額控除できるようになります(23年から適用、所得税額の25%が上限)。

8.雇用促進税制

期末において、雇用保険の一般被保険者の数が、前事業年度末に比べて10%以上増加し、かつ5人以上(中小企業者等は2人以上)増加した場合、その増加した人数に20万円を乗じた額を税額控除できる制度です。23年4月1日開始事業年度から適用され、事前に職安への届出が必要になります。

9.その他

証券優遇税制、中小法人の法人税率の軽減、試験研究費の税額控除、事業基盤強化設備等取得の特別償却・税額控除等は適用期限が延長されました。

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