労働条件は法令に違反しない範囲で会社が自由に決められます。
会社にとって有利になるような労働条件を決めるときのポイントをいくつかご紹介します。
試用期間とは、入社した従業員に仕事の適性があるかどうかを見極める期間です。また、従業員を教育訓練する期間でもあります。この試用期間を設けるかどうかは会社の任意となります。
入社した従業員に仕事の適性がないことがわかったときなど、これ以上雇用を継続することできない理由がある場合に、雇用を打ち切ることがあります。通常、雇用の打ち切りは解雇になりますので、解雇予告をしたり解雇予告手当を支払う等の手続が必要になります。
この場合、試用期間を設けておくと、試用期間開始後14日以内であれば、解雇予告や解雇予告手当の支払いといった手続をすることなしに雇用を打ち切ることができるのです。
給与額に残業代を含んで支給することがあります。この場合、ただ単に「月給額に残業代を含む」と定めただけでは、法的には残業代を支払ったことになりません。後で従業員から残業代を請求されたら支払わなければならないのです。
給与額に残業代を含んで支給する場合には、例えば、「月給額には5万円の残業代を含むものとする」などとして、残業代の金額を明確にする必要があります。
年俸制を採った場合でも、考え方は同じです。年俸制であっても残業代の支払いは必要なので、年俸額に残業代を含んで支払うのであれば、いくらの残業代を含んでいるのかを明確にしなければなりません。
従業員が病気で欠勤が続く場合に、雇用を打ち切るためには、通常、その従業員を解雇することになります。
ただ、解雇するとなると、やはり解雇予告や解雇予告手当の支払いなどの手続が必要になってしまいます。
このようなときのために、休職制度を設けておき、休職欠勤できる期間(休職期間)を定めておくことが重要です。そして、さらに、「休職期間が満了しても病気が治らない場合には自動退職とする」と定めておきます。
こうすることで、病気により欠勤していたとしても、解雇することなく雇用を打ち切ることができるようになります。
懲戒解雇や減給処分といった懲戒処分は、労働条件で定めることで初めてできるようになります。
労働条件で懲戒処分について定めていないと、従業員の勤務態度不良や法令違反行為に対して会社として適切な処分をすることができません。
懲戒処分の種類(懲戒解雇等)と懲戒処分の理由を明確に定めておくことが重要です。
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