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少数株主の権利

第197_1号 2010年10月

1.はじめに

株式会社は、出資者である株主が会社の所有者で、会社の経営は株主から株式会社の経営を委託された取締役がする仕組みになっています。株主には、たとえ一株しか所有していなくても様々な権利が認められています。ですから、「他人に株を持ってもらう」ということはかなりリスクがあり、そのリスクに対する管理もしなくてはなりません。

2.譲渡制限は当たり前

定款に「当会社の株式を譲渡するには、取締役会若しくは株主総会の承認を受けなければならない」とする譲渡制限の規定を入れるのはリスク管理上初歩の初歩です。

3.議決権行使制限株式の発行

お金は出してもらいたいけれど、会社の経営には関与してもらいたくない場合には、議決権行使に制限のある株式を発行すると効果的です。

議決権とは、株主総会で1票を投じる権利のことですが、この議決権の行使に制限を設けると株主総会での決議に参加できないとともに、次のような株主総会に関連する事項に対する権利行使ができなくなります。

株主提案権…
株主総会の議題を提案する権利
総会招集権…
株主総会を招集することを請求する権利
議決権行使書面等の閲覧請求権…
議決権を行使するための書類の閲覧を請求する権利

4.議決権を制限しても

株主の権利を行使できる基準として、「議決権の割合」の他に「株式数の割合」を定めているものがあります。以下の株主としての権利は、発行済株式総数の3%以上の株数を所有する株主に認められている権利です。議決権を制限しても影響されない株主の権利なのです。

帳簿閲覧権…
会社の会計帳簿を閲覧する権利です。ここで会計帳簿とは、総勘定元帳や補助元帳などであるとされています。少数株主に会社の帳簿まで見られるなんて厭ですよね。
業務執行に関する検査役の選任請求権…
一定の事由がある場合に、会社の業務及び財産の状態の調査のため、裁判所に対して検査役の選任を申し立てることができる権利
取締役等の解任請求権…
取締役等がその職務の執行に関し不正の行為があった等、一定の事由に該当する場合に、取締役等の解任を請求することができる権利

5.安易に株主にしない

以上のように、株主には様々な権利が認められています。安易に出資を仰いで株主になってもらうと、思わぬリスクを背負いかねませんので、注意してください。

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