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納税と資金繰り

第196_1号 2010年9月

1.はじめに

不景気で資金繰りが苦しいなか、納税資金をねん出することは大変なことです。できれば納めたくない税金ですが、そうはいきません。そこで今回は、少しでも納税を遅らせたり、税額を少なくする方策について考えてみましょう。

2.中間申告をする

前期において20万円以上の法人税を納付すると、今期において前年度納税額の2分の1の額が予定納税ということで通知書が送られてきます。同時に法人地方税の予定納税の通知書も送られてきます。

今期の業績が思わしくなく、前期より業績が落ち込む可能性が大きいときは、半期で仮決算をして中間申告をしましょう。今期の前半が赤字であれば中間申告により納める納税額は法人住民税の均等割額(最低で35,000円)だけになります。

消費税についても前年度実績で納税するのではなく、仮決算をして今期の実績額をもとに中間申告をすることができます。

また、法人税と法人地方税だけ仮決算をし、消費税は前年度実績で納税することもできるのです。

3.欠損金の繰戻還付をする

前期は黒字で法人税を納税したけれども、今期は赤字で資金繰りが苦しい時は、前期に納めた法人税を還付してもらいましょう。

欠損金の繰戻還付という手続で取り戻すことができます。資本金が1億円以下の中小企業者等に認められた制度です。

還付される法人税額は、前期納税額に前期の黒字額に占める今期の赤字額の割合を掛けた金額になります。ただし、還付金額が100万円以上といった大きな金額になると、税務調査が入る可能性が高いのが厄介です。

4.決算月を変更する

例えば12月決算で、12月に大きな売上があり、かなりの利益が計上される予定であるとします。このまま決算を迎えると多額の納税が生じますが、資金繰りは厳しく納税の余裕がありません。

こんな場合、決算月を変更するのもひとつの選択肢です。決算月を12月から11月に変更して、12月に計上される大きな売上を翌期の売上にしてしまうのです。決算月を変更しなければ、翌年の2月末までに納税をしなければなりませんが、決算月を11月に変更することにより、12月の売上にかかる納税は翌々年の1月末までに延期できます。

またそうすることにより、節税対策及び資金繰り対策をするのに十分な時間を確保することができることになります。

5.含み損を出す

会社に含み損のあるゴルフ会員権や不動産があったら代表者個人に売却して会社で損失として計上しましょう。そうすれば会社の納税はセーブでき、売却代金も会社に入ってくるので資金繰りが楽になります。会社と代表者との取引であっても、時価で売買すれば税務上も何ら問題はありません。

今一度、会社の財産を見直して、資産の有効活用をしましょう。

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