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今回は、最近の税務調査の状況をお知らせいたします。
どのような事業者が税務調査の対象として選ばれるのかは興味深いところです。まず挙げられるのが、前年に対して売上高が急激に伸びている事業者です。売上が伸びて利益が上がっていれば「経理処理がそれに追いつかないだろう」といったところでしょうか。次に、業態に変化のあった事業者です。これは、実態を把握するために調査対象として選定するのでしょう。そして、売上の伸びに対して、売上原価がそれ以上に伸びている事業者です。例えば、前期に比して売上が2倍、そして売上原価が2.5倍増えているような場合には、コンピュータが自動的に調査対象としてはじき出すようです。
最近の調査では、自宅の一部を事務所として使用して、その家賃を事業の経費としているケースを問題としています。税務調査も、一般企業のキャンペーンのように、「××強化月間」みたいなものがあるのでしょうか。「実際にどのように自宅を事務所として使用しているのか?」「間取り図を見せてもらいたい」といった要求が調査官からあります。最近の調査でも2件、実際に自宅に行って事務所としての使用状況を確認したいという申し出が調査官からありました。やはり、実態に合った事務所としての使用面積、使用頻度を基に事業の経費とする家賃を割り出すことが必要であるということです。
平成18年度の税制改正で、30万円未満の減価償却資産を一時に損金として処理できるとする制度が、合計額300万円という制限を付けられて適用期限が延長されました。この制度の適用を受けるためには、税務申告書に「この制度の適用を受けた旨」の記載(平成18年4月1日以降事業供用分からは明細書の添付)をする必要があります。細かいところですが、この記載があるかどうかというところを調査中に確認しています。記載漏れがない様に、会計ソフト上で自動的に集計できるような工夫が必要となります。
各税務署は、所轄法人の10%を目標に税務調査を行うこととされていて、そのような人員配置をとっているようです。しかし、実際にはその目標には届かず、年間に全法人の5%くらいの調査率の税務署もあるようです。年10%の調査率ですと、10年に1回の割合で税務調査が来るということになります。新会社法の施行で、法人数は増加傾向にあることから、相当調査官の人数を増やさないと、調査率の向上は難しいのではないかと思われます。
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