台風や新潟県中越地震では多くの方が被災されました。そこで、法人がこれらの被災地へ支援した場合の法人税法上の扱いを説明します。
国及び地方公共団体への義援金の拠出は全額損金となり、災害救助法第2条の規定に基づく募金団体(日本赤十字社や報道機関など)で、その義援金が最終的に義援金配分委員会等に拠出されるものは国及び地方公共団体への拠出と同じ扱いとなります。
被災した取引先に、被災前の取引関係の維持・回復を目的とした災害見舞金又は事業用資産の供与、役務の提供は交際費とはされずに販売促進費などの名目で損金に算入されます。
法人が、被災した得意先等に対してその復旧を支援することを目的として、災害が発生してから通常の営業活動を再開するまでの期間内に、売掛金や貸付金などの債権の全部または一部を免除した場合にも特別な規定を置いています。
つまり、このような免除金は寄付金として扱うことなく、売上値引きなどとして損金に算入することができるのです。
通常は、低利または無利息で取引先に融資をすると、通常の金利との差額を取引先に寄付しているとして、その差額を寄付金として扱います。しかし、被災した取引先に対しいて通常の金利より低利または無利息でお金を貸しても、通常の金利との差額を寄付金として認定することはありません。
自分の会社の製品を広告宣伝目的以外で不特定の人に提供すると、それにかかる費用は通常寄付金とされてしまいます。しかし、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行なう自社製品の提供にかかる費用は、寄付金とは扱わずに損金に算入します。
所属する同業者団体の構成員が被災して事業用資産に損失が出た場合に、その補填のために各構成員が負担する分担金は全額損金に算入されます。
自社の従業員と同等の事情にある専属下請先の従業員や親族が被災した場合において、一定の基準に従って支給するお見舞金は、自社の従業員に支給する場合と同様に福利厚生費として扱い、交際費とはならない規定があります。
災害により被害を受けた固定資産について、現状を回復するための費用は全額修繕費に該当し、被災前の効用を維持するための補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のための費用については、法人が修繕費として経理しているときは、その経理を認めるとしています。
このように税法も珍しく納税者の味方をしていますので、1日でも早い被災の回復を願わずにはいられません。
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