NPO法人
第113_1号 2003年09月
1.はじめに
NPOとは、Non Profit Organizationの略称で、非営利組織を意味します。営利を目的とした組織である株式会社や有限会社とは違い、広く公益性が求められる組織です。平成10年よりNPOの法人化が認められ今日に至っています。
2.法人化するメリット
市民活動団体などのNPOがNPO法人として法人化するメリットはおよそ以下のとおりです。
- 1) 法人名で銀行の口座を作ることができる
- 法人化しないと、組織の代表の個人名で口座を作ることになります。
- 2) 資金調達や運用が法人名でできる
- 3) 不動産の登記が法人名でできる
- 組織で不動産を取得した場合、法人名で登記できます。
- 4) 事務所や店舗を法人名で借りれる
- 事務所や店舗などの賃借もしやすくなります。
- 5) 補助金や寄付金がうけやすくなる
- 6) 社会的信用力が高まる
- 7)人材を集めやすくなる
- 8) 認定NPOになると税金の優遇措置がある
3.税金の扱い
非営利組織とはいっても、「営利事業をしてはならない」ということではありません。
営利事業をしてその利益を非営利の活動にあてたり、再投資することもあります。しかし、構成員で利益を分配したりすることはできません。
- 1) 法人税
- NPO法人の活動が法人税法で定めた33種類の収益事業に該当する場合は法人税の対象となります。法人税率は通常の法人(株式会社、有限会社など)と同じです。
- 2) 法人住民税
- 法人住民税には所得(利益)にかかる法人税割と、一定額の均等割があります。法人税割は法人税の扱いと同様です。均等割については、NPO法人は地方公共団体(都道府県、市区町村)により減免措置があります。
- 3) 消費税
- 通常の法人と扱いの差はありません。ただ、通常の会費収入や寄付などの消費税のかからない取引が多いでしょう。
- 以上のように、一般のNPO法人は収益事業の税金については通常の法人とほぼ同じ扱いとなります。
4.認定NPO法人の扱い
認定NPO法人とは、国税庁長官の認定を受けたNPO法人で、以下のような税の優遇を受けられます。
- 1) 個人が認定NPOに寄付
- 寄付をした個人が寄付金控除を受けることができます。
- 2) 法人が認定NPOに寄付
- 認定NPOへの寄付金を法人の経費として処理できる枠が多くなります。
- 3) 相続財産を認定NPOに寄贈
- 親からもらった相続財産を認定NPOへ寄贈すると、相続税の計算上その寄贈財産を相続財産から除くことができます。
- 4) みなし寄付金
- NPO法人内において収益事業で稼いだお金を非収益事業に寄付すると、収益事業の所得の20%までの寄付金を収益事業の損金に算入するという制度です。かなり税金が有利になる制度です。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修