IT投資促進税制
第109_1号 2003年05月
1.はじめに
平成15年度の税制改正により、IT(Information Technology:情報技術)機器やソフトウエアを購入した場合、またリースした場合に税額控除(税金そのものを減額する)か特別償却(減価償却を特別に多く計上することにより税金が安くなる)をすることができる制度ができました。ソフトウエアまでも対象としたこの新制度について説明いたします。
2.対象者
青色申告書を提出する法人または個人
3.適用期間
平成15年1月1日~平成18年3月31日までに取得・使用することが必要です。
4.対象設備(新品のみ)
- (1)電子計算機
- 主記憶装置(メインメモリ)が256メガバイト(サーバー用は128MB)以上のもので、同時に設置するプリンター、ディスプレイなどの装置を含みます。
- (2)デジタル複写機
- (3)ファクシミリ
- (4)ICカード利用設備
- (5)デジタル放送受信設備
- BSデジタル放送、CSデジタル放送等の受信テレビ等
- (6)インターネット電話設備
- (7)ルーター・スイッチ
- (8)デジタル回線接続装置
- (9)ソフトウエア
自社利用のソフトウエアとして無形固定資産に計上するものが対象となります。
パッケージソフト、自社開発ソフト、開発を委託したソフトなどが該当します。
ただし、複写して販売する原本や研究開発用のものは対象となりません。
5.金額要件
- (1)資本金3億円以上の法人(取得だけ)
- 600万円以上の機器の取得
- 600万円以上のソフトウエアの取得
- (2)資本金3億円以下の法人および個人
-
- <取得>
- 140万円以上の機器の取得
- 70万円以上のソフトウエアの取得
- <リース>
-
- 200万円以上の機器のリース
- 100万円以上のソフトウエアのリース
6.税金優遇の内容
- (1)特別償却(リースの場合には適用なし)
- 取得価額の50%の特別償却をすることができます。
30万円のパソコンを10台購入したとすると、合計300万円の50%である150万円の減価償却費を通常の減価償却費とは別に計上できます。特別償却の額は月割り計算が不要なため、決算月に購入しても取得価額の50%の減価償却費を計上できます。
- (2)税額控除
-
- <取得>
- 取得価額の10%の金額を払うべき税金から控除することができます。
- 300万円の取得価額であれば、その10%である30万円を税金から控除することができるのです。
- <リース>
- リース総額×60%×10%の金額を払うべき税額から控除することができます。
- 特別償却は決算書の利益を少なくしますが、税額控除ですと決算書の利益を少なくすることなく、税金そのものを減らすという違いがあります。
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修