現行の商法では、株式会社1千万円、有限会社3百万円の資本金の最低額が定められています。会社を起こすにも最低これだけの資金が必要であるということです。しかし、これではいいアイデアを持っていてもお金がなければ起業できません。
そこで平成15年2月1日から平成20年3月31日の間だけ最低資本金の特例を設けたのが、この最低資本金特例です。
資本金が1円でも株式会社、有限会社を作ることができます。しかし、会社設立から5年以内に増資して株式会社なら1千万円、有限会社なら3百万円の最低資本金を満たす必要があります。
この制度を利用して会社を作れるのは創業者の要件を満たす個人です。創業者とは「事業を営んでいない個人」です。
具体的には、サラリーマン、専業主婦、学生、失業者、年金生活者、法人の代表権のない取締役です。
個人で確定申告している人でも、事業所得の申告をしている人は創業者に該当しません。しかし、不動産所得(アパート経営など)を申告している人は創業者に該当します。
設立してから5年後までに増資をして最低資本金を満たせば会社はそのまま継続することになります。
しかし、5年後に最低資本金を満たせないと、会社は解散してしまいます。
それでは大変なことになってしまいますので、解散を回避するために有限会社や合名会社、合資会社に組織変更することもできます。
この特例を利用して会社を設立すると決算日後3ヶ月以内に決算書を経済産業局に提出することが必要で、決算書のうちの貸借対照表は公衆の縦覧に供されることとなり、誰でも見ることができます。
あとは、事業を成功させてそのお金で5年内に最低資本金をクリアする増資をすればOKです。
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