前回は親の土地に子供がマイホームを建てるケースでしたが、今回は親の土地に貸家を所有するケースを考えてみます。
Bさんの場合、アパートの建築資金は親が負担しており、親から贈与されたときに贈与税は払いますが、自分が建築資金を出すよりかなり安くつくはずです。どちらかというとチャッカリとしたやり方です。
この2つのケースは、結果として親の土地を使用貸借して自分名義のアパートを所有していることで同じなのですが、将来において親の相続が発生したとき、土地の評価に大きな違いが出てきます。
使用貸借より土地を貸している場合は、貸していても借地権を認めないのですから、借地権をゼロとして自用地としての評価つまり更地の評価になります。
Aさんの場合、このアパートの敷地は親からの相続時には、この原則通りに自用地評価になります。
一方Bさんはどうかというと、Bさんだって親の土地を使用貸借していることに変わりありません。しかしBさんの場合は自用地評価ではなく、貸家建付地としての評価になります。
貸家建付地の評価は次の通りです。
借地権70%、借家権30%とすると、自用地1億円の評価の土地が、21%の2100万円減額され、7900万円の評価になることになります。
上記の算式の借地権割合×借家権割合の部分は「借家人の有する宅地等に対する権利」といわれるものです。
Bさんの場合、アパートはそもそも親が建てて、親とアパートの借家人との間で賃貸借契約が締結されています。この契約により親の土地には「借家人の有する宅地等に対する権利」が発生していることになります。建物がBさんに贈与されてもこの権利はそのまま変更されないで引き継がれるのです。
チャッカリ者のBさんは律儀なAさんよりまたしても相続税の上で得をすることになります。
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