組織変更とは代表的な例では有限会社が株式会社になることをいいます。
有限会社では対外的に印象が良くない等の理由で株式会社に変えたいという話は良く耳にします。
昨年、税制改正があり、利益の蓄積のある有限会社は株式会社に組織変更をし易くなりました。以下、説明致します。
有限会社から株式会社に組織変更するには、組織変更後の資本金を1千万円以上にする必要があります。株式会社の最低資本金が1千万円であることから要求されるのです。
組織変更後の資本金を1千万円以上にするためには次の二つのケースで考えます。
「純資産」とは現金預金といったプラスの財産である資産から借入金のようなマイナスの財産である負債を差引いた残りの財産です。
資本金に創業以来の利益の累積を足したものと言うこともできます。
資産 (プラスの財産) |
負債 (マイナスの財産) |
純資産 (資本金+利益の累積) |
この場合は、有限会社の状態で増資をして資本金を大きくすることにより純資産を1千万円以上にしなくてはなりません。
有限会社で純資産が3百万円であった場合、株主が7百万円のお金を用意して増資払込をしなくてはならないのです。
株主がお金を準備するのが大変です。
有限会社の時点で純資産が1千万円以上あると、そのまま株式会社に資本金1千万円以上で組織変更できます。
資本金3百万円の有限会社で純資産が1千万円以上ある場合、②で述べたように有限会社の資本金3百万円と7百万円の利益の累積との合計1千万円を株式会社の資本金とすることができます。
しかし、税制改正前(13年3月31日前)は、有限会社の利益の累積7百万円については一度株主に配当され(みなし配当)、そしてそれを資本金として払い込んだという仮定の理屈で課税され、株主に多額の所得税が課せられました。これが足枷になっていて、この制度の利用に二の足を踏んでいました。
このみなし配当は廃止されました。
これにより有限会社で純資産が1千万円以上の会社は、いつでも簡単に組織変更をして株式会社になることができます。
無断転用・転載を禁止します。