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資金調達の変化

第085_1号 2001年5月

1.はじめに

5月13日の日経新聞一面の「株式会社を考える」に株式会社の資金調達の仕方の変化についての記事がありました。読んで「なるほど」と思いましたので、ご紹介いたします。

2.会社が集めるお金にはがある。

「株式会社が集めるお金には色がある」として、「負債」と「資本」に色を付けています。

  貸借対照表  
運用→ 
資産 負債
資本
 ←調達
    

会社の財産の状態を表わす「貸借対照表」の右側は資金の調達源泉を表わします。左側はその調達資金の運用の状態を表わします。

①負債
銀行借入や社債は決まった金利を払いますが、必ず返済が必要となリます。したがって返済が見込める資金運用をしなくてはならない「リスクを嫌うお金」です。
②資本
株主から集めたお金で、株主への配当により高い収益力(利回り)を要求される代わりに、株主への返済はありません。したがって資金運用が失敗してもある程度平気な「リスクを許すお金」です。

3.お金の色を意識し始めた・・・

『資本の使い道を明確にして収益を上げていかないと、株は売られ、いざ新しい成長事業に乗り出そうというときには「リスクを許すお金」を調達できなくなるという不安からお金の色を意識し始めた』。

これは、ROE(Rate of Return On Equity)株主資本利益率といった指標が投資尺度として重要視されたことによります。

ROEは「税引後の利益(株主に分配可能な当期の利益)」を貸借対照表の「資本」で割った比率です。

ROE = 税引後利益
資本

高株価で資本調達が容易で、株式の持ち合いによる馴れ合いで株主が静かだったバブル期とは違い、株価が低迷している状況で海外投資家を含めた今の株主はしっかりしたリターンを求めています。

ROEを高くするには利益を上げるか分母の資本を減らす(増やさない)かです。景気の低迷している状況では分子の利益はなかなか上がりません。したがって分母の資本を減らしています。

4.資本を減らす(増やさない)

資本を減らして(増やさないで)ROEを上げる方法です。

①自社株の消却
市場から自社の株を買い入れて資本を減らす方法です。東燃ゼネラル石油は負債である借入金を400億円して自社株を消却したそうです。
②必要資金を負債で調達する。
ソニーが7年ぶりに1500億円の国内普通社債を発行して、工場建設に必要な資金を調達したそうです。
資本を増やさないで負債を増やしたやり方です。

世の中変わりました・・・

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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