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税金いろいろ

第065_1号 1999年8月

1. 競走馬

競走馬、優勝すれば2億円の賞金を稼ぎ、大儲けしていると思うのは大きな間違い、牧場代から訓練代などの管理費は莫大で、馬主が賞金だけで食っている状況は宝くじ並みの確率でしょう。では何故こんな歩の悪い投資にお金持ちは殺到するのでしょうか。

それは、税金にあるといっても過言ではありません。

所得税法上、以下のいずれの条件を満たすと事業所得に該当し、競走馬保有にかかる損失を他の給与所得や不動産所得等から差し引けるのです。

  • その年において、登録期間が6月以上の馬5等以上保有
  • 3年内の各年に登録馬2頭以上保有、かつ、競走馬の保有にかかる所得の黒字が3年内に1回以上あること。

2.印紙の消印

収入印紙にハンコを押して消印しますが、これは印紙の再使用を防ぐためのものです。消印は文書の作成者、従業員、代理人等の印章または署名によることが必要です。

(印章)
文書に押したものでなくてもOKで、名称などを表示したゴム印でもよい。
(署名)
自筆によるが、氏名、通称、商号でOK。単に「印」と署名したり斜線を引いても消印したことにはならない。

3.商業帳簿の保存

帳簿や請求書等の保存は厄介なものです。すぐにダンボールの箱が増えてしまいます。 これらの書類はいつまでとっておかなければならないのでしょうか。

法人税法では帳簿類の7年間整理保存を義務付けています。対象となるものは、帳簿類はともかく、棚卸表、注文書、契約書、領収書、見積書なども含んでいます。

なぜ7年間も保存しなければならないかというと、不正行為による税金逃れは7年まで税務署が追求できるからだと思われます。

しかし、通常の時効の扱いは5年間であり、帳簿書類も5年間くらい保存しておけばほとんど問題ないような気もします(あくまでも個人的な意見です)。

4.取引停止後1年以上

「得意先の社長が夜逃げをして売掛金が未回収になった」
などということがままあります。この売掛金、もう回収できないことは分かりきっていますが、だからと言って税務上単純に貸倒れ損失として損金に計上することはできません。

貸倒れ損失として損金に計上するには税法上の厳格な要件に貸倒れの状況が当てはまらなくてはならないのです。単に、「得意先の所在が分からないから」では損金として認めてくれません。

継続的な取引をしていた得意先なら「取引停止後1年以上」という貸倒れの規定が適用できます。社長が夜逃げをして取引が停止してから1年経てば未回収の売掛金のうち1円を残して大手を振るって貸倒れ損失として損金に計上できます。

新規の取引先との取引や土地の売買のような単発の取引で生じた未回収の売掛金は対象になりません。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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