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源泉所得税

第062_1号 1999年5月

1. 源泉所得税とは

源泉所得税とは、給与や報酬等の支払者(源泉徴収義務者)が、その支払をするにあたって一定の税額を差し引いて預り、それを税務署に納税する制度です。

つまり、支払者が強制的に一定額をプールして税務署に納める仕組みで、税務署としては取りっぱぐれのない実にうまくできた仕組みです。

しかし、実務家としては侮れない税法で、実際、海外のノウハウに対する支払において源泉徴収を懈怠し、数億円の源泉税の追徴を受けたとかの記事を目にしました。

2. ペナルティーがきつい

法定納期限までに徴収した源泉所得税を納税しないときついペナルティーが待っています。

「不納付加算税」といって、税務調査で指摘されて支払うと税額の10%、税務調査前に自主的に納期限後に支払うと税額の5%がペナルティーとして課税されます。

3. 源泉徴収-必要・不必要の事例

① 祝金、見舞金(従業員・役員)

支給を受ける人の地位等から見て、「社会通念上相当と認められるもの」については課税されず、不相当なものは課税されます。抽象的な規定ですが、要は常識はずれはダメということです。

② 法人が非居住者に支払う家賃

「非居住者」とは、国外において継続して1年以上居住することがほぼ確実な人を言います。法人が従業員社宅などで、非居住者から家屋を賃借している場合には、支払額の20%を源泉徴収する必要があります。

③ 永年勤続表彰金

おおむね10年以上勤続で、5年以上の間隔で行われる永年勤続表彰において、金銭及び換金可能な商品券などで支給されるものは源泉徴収が必要で、記念品で支給する場合は必要ありません。

4.外注者等に対する源泉税

外注、契約社員、嘱託等、様々な雇用または請負及び委任形態がありますが、大きく実質的に雇用契約関係にあるのか請負契約関係にあるのかによって源泉税の扱いは変わってきます。

実質的に雇用契約関係にあれば他の従業員と一緒に源泉徴収することとなります。判断基準はおおむね以下のとおりで、そのとおりだと雇用契約関係といえます。

  1. その者が会社の指揮監督のもとに置かれている。
  2. その者は仕事の危険負担を負っていない。
    つまり、仕事の責任は自分ではなく会社止まり。
  3. その者の収入源はその会社だけ。
  4. その者が仕事で使う器具類は会社のもの。
  5. 仕事に要する旅費や交際費等の経費は会社負担。
  6. 業務請負契約書、業務委託契約書、注文書、請求書がない。

雇用契約関係にあるとしたら「給与所得者の扶養控除申告書」に記入してもらい、源泉徴収税額表の甲欄で源泉します。

また、支払額の一律10%を源泉するのもひとつの方法です。

アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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