日経の一面に掲載された「きしむ景気」を読んで、今の日本経済を端的に物語っている記載がありましたのでここで再度紹介します。
「最近は現金払いが半分以上を占め、カードも一括払いが増加中。丸井全店の分割払いでの平均購入額は96年度を一割ほど下回る。」
⇒ 消費者は「ローン」という将来の負担に不安あり。
「総務庁の家計調査によると、ボーナス期の7月のサラリーマン世帯の借金返済は前年同月比23%増と急増、昨年7月の13%減とは様変わり」
⇒ 消費者は消費より将来の負担の減少
「医療費負担の増加により多くの医療機関で負担増を嫌った外来患者の減少が始まっている」
⇒ 消費者は増税に次ぐ負担増に敏感
「マツヤデンキの8月における冷蔵庫の平均購入単価は7万7千円、カラーテレビは5万2千円と前年比7%と4%の低下」
⇒ 消費者はワンランク下の商品で我慢する傾向あり
「セブンイレブンで少量のおにぎりや総菜を買っていく主婦が増え、また、単価の安い女性用化粧品や男性用スキンケア商品も伸びている」
⇒ 消費者は食品や雑貨のまとめ買いを避け、必要なものを適量・少額だけ買う傾向あり
以上のような現象を日経新聞は「消費者は今後も負担増が続くと考え、消費を抑えて自己防衛に乗り出した」としている。 その根拠として、消費性向という言葉で説明している。
消費性向とは近代経済学者ケインズが提唱した概念で、「可処分所得に占める消費支出の割合」を意味します。これまで増税があると、消費者は生活水準を維持するために貯蓄を減らして消費に回すことが多く、結果的に消費性向が上がり、消費を下差さえしてきた。実際、平成元年の消費税導入時には消費性向は前年比0.7ポイント上昇している。
しかし消費税率をアップした今年は消費性向が前年比横這いかやや下回りそうな状況である。
そして、日経は「経済構造の変革の下で新しい均衡点を模索する個人消費は、当面低空飛行を続ける公算が大きい」と結論づけています。
円安を背景とした輸出景気に支えられている大企業のデータで景気を判断している日銀の楽観的な短観などで、もう慰め合うのはおしまい。
中小企業はもう淘汰の時代だと思います。ここで生き残った者が勝ちではないでしょうか。
消費者の需要に見合った組織規模、急激な市場変動にも対応できる組織的柔軟性。もう背伸びは禁物。売上が3~4割減った場合の対応準備も現実的です。その上での頭と行動力を使った営業展開。正確な数字による現状把握と適切な判断。現に淘汰の済んだコンピューターソフト業界は今元気です。あの業界の不況を勝ち残った会社は今利益を上げています。
どうか皆さん、元気を出してこの不況を乗り切りましょう。
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