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銀行対策

第043_1号 1997年8月

1.利下げの交渉術

  • 金利を下げさせる権利がある。

    銀行取引約定書には「銀行は金融情勢が変われば金利を変更できる」との記載があるが、借りてる側も金利を下げる権利があると解釈できる。
  • 取引銀行を複数にし、銀行同士競合させる。
  • 利下げ交渉が成立するまでは利息を払わない。

    「話合いがつくまで、一時利息の支払いはストップする。話合いがついたら支払を再開する」と交渉する。つまり、一般取引と同様に強気に交渉する。

2.預金の不法拘束への対処法

銀行から借入をすると、見合いとして預金を同時に要求されることがあります。通常、「見合い預金、にらみ預金」と言われているものでで、法的な拘束力はありません。普通の預金と同様にいつでも引き出せます。このような預金はそのままにしておくと、いざ借入の延滞が起こると、「貸付の延滞があるから、直ちに貸付金の全額を返してください」との内容証明を送りつけて合法的にこの預金を拘束できるのです。 「貸付をするから預金をしてくれ」と銀行が要求するのは違法行為です。

3.元金棚上げもできる

元金棚上げ等の取引条件変更は、新規の貸出とは違い、ほとんど支店長決裁で簡単にできます。しかし、このときの銀行の決まり文句が次の3つです。

  • 保証協会の保証付きだから条件変更できない。
  • 本店決済が下りない。
  • 国の金は条件変更できない。

しかし、これらはほとんど嘘です。

4.保証協会と銀行

「担保がなくても、保証人がいなくても、代わりに保証します。だから銀行さん、安心して金を貸してやってください」という趣旨で発足したのが保証協会です。保証協会がお客の代わりに借入を返済した場合には、国の中小企業信用保険公庫に再保険をかけているので、その7~9割のお金は戻る仕組みになっています。

しかし、この本来の趣旨からはずれ、現在の保証協会はむしろ金融機関に従属してしまい、金融機関のものとなっています。なれ合いの構造は次のとおりです。

<金融機関>
保証協会の保証を付けることにより、貸付は100%安全になるだけでなく、保証協会から預託金という安い金利の預金ももらえる。
<保証協会>
銀行とグルになって担保及び保証人を要求し、かつ保証料をもらう。万一、お客の代わりに返済しても国の再保険から7~9割のお金をもらえるし、あとは保証人を脅して取り立てればよい。
困るのは、担保や保証人までとられた上に保証料を払わされるお客と、税金をそんなふうに使われてしまう国民です。

5.その他留意事項

① 手形割引専用の金融機関を作っておく。

資金繰りが悪化して利払いが停止した場合には、銀行は手形の割引を断ってきます。手形を割れないと死活問題です。

② 過大な根抵当権は設定するな。

過大な根抵当権を設定すれば担保余力は減少し、他行の参入を抑制できます。この客を自分のところへ縛り付けておこうというのが、本当のねらいです。


「どんとこい銀行」サンマ-ク出版より
アトラス総合事務所 公認会計士・税理士 井上 修
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