所得税や法人税においては、商売をやっている人はすべて納税義務がありますが、消費税においてはすべてに納税義務が生じる訳ではありません。
つまり、個人で商売をやっている人の場合、平成7年の課税売上高が3千万円超の人が平成9年度の消費税の納税義務者となります。
消費税の納税義務の要件となる前々課税期間が商売を始めた当初暦年で2年間ないことから、商売を始めた年と、その翌年は納税義務が発生しません。
新たに商売を始めた個人及び資本金1千万 円未満の有限会社は、当初2年間は消費税の納税義務はありません。
当初、個人で商売を始め、2年経過した時点で資本金3百万円の法人を設立して個人事業を法人へ移行すれば、おおよそ4年間消費税の納税義務は生じません。
9年 | 10年 | 11年 | 12年 | 13年 |
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事業開始 | 法人成り | 納税義務 |
上記のように、平成9年1月に個人で商売を開業し、2年経過した平成11年1月に資本金3百万円の有限会社を設立して法人成りした場合、個人の当初2年間は消費税の納税義務はなく、かつ3百万円の有限会社においても当初2事業年度は消費税の納税義務はありません。すると、納税義務が発生するのは平成13年からとなり、まるまる4年間消費税を払わなくて済みます。
実際、毎年売上高が1億円のサ-ビス業を考えた場合、簡易課税によると毎年2百50万円、4年間で1千万円消費税を払わなくて済むことになります。
新たに商売を始める場合でなく、現在個人で商売をやっていて、消費税の納税義務者である人も、資本金3百万円で有限会社を設立して法人成りすれば、法人成りした後2事業年度は消費税の納税義務を免除されることになります。
以上の説明はあくまでも消費税法の制度の矛盾点を説明したものであります。会社を設立する事を考えている方は、このようなことも十分に理解した上で事に当たる必要があると思います。
何事もやり過ぎはよくなく、今年に入ってある運送会社が以上説明した納税義務の免除の制度を利用して実態のない会社を10社以上作って消費税を逃れていましたが、消費税法違反で刑事告発されています。実態がないとだめです。
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