従業員と雇用契約を結ぶ際に、身元保証書を提出してもらうべきでしょうか。
身元保証書には、保証人の氏名や住所、連絡先などが記載されます。
従業員が会社で問題を起こしたときや、何らかの理由で従業員と連絡が取れなくなったときには、身元保証書があれば、保証人に、何らかの対応をとってもらうこともできるでしょう。
身元保証書とは、従業員が仕事で会社に損害を与えた場合に、身元保証人がその損害を保証することを約束する契約書です。
通常は「連帯保証」とすることが多いのですが、この場合には、従業員と身元保証人は、損害に対して連帯して責任を負うことになります。
身元保証書の有効期間は、5年または3年です。
身元保証書に有効期間を設ける場合は、最長5年となります。有効期間を設けない場合は、有効期間は自動的に3年となります。
また、身元保証書の有効期間には自動更新は認められませんので、身元保証書を継続させたい場合には、有効期間が満了するときに、しっかりと身元保証を結びなおさなければなりません。
改めて身元保証契約を結びなおした場合でも、有効期間の上限は変わりません。
身元保証人は、従業員本人が会社に与えた損害を保証しなければなりませんが、損害発生の理由によっては必ずしも損害の100%を保証しなければならないわけではありません。
当然、事案によっても異なりますが、会社が業務管理上の注意を怠っていたことが損害の原因の一つと認められる場合には、身元保証人の保証責任は軽減されます。
裁判例で、身元保証人の責任が軽減された例では、損害額のおよそ6割から8割くらいの保証責任が軽減されているケースが多いようです。
逆をいいますと、会社に落ち度がなければ、身元保証人の保証責任は軽減されないわけです。
就業規則や雇用契約書で身元保証書の提出を義務付けることができます。
また、提出を義務付けているにも関わらず、従業員が提出をしない場合には、就業規則等の定めに従って、懲戒処分にすることもできます。
従業員に身元保証書を提出させることで、万が一の時には従業員のみならず、保証人にも責任を追及することができます。
身元保証書は労務管理上重要な書面といえます。
無断転用・転載を禁止します。