地震などの天災によって、従業員が会社に出勤することができなかったとき、会社は従業員に給与を支払う義務があるのでしょうか。
従業員が勤務することができなかった理由によって、給与支払いの義務があるかどうかが決まります。
従業員が本人の都合により仕事をしていない時間については、会社は給与を支払う義務がありません。これをノーワーク・ノーペイの原則といいます。
例えば、従業員が遅刻早退した時間や、病気欠勤した日などについては、給与を支払わなくても構いません。
従業員本人の都合による不就労については、会社は従業員に給与を支払う必要はありませんが、会社の都合により従業員が働けなかったときは取り扱いが異なります。
会社の都合により働けなかった時間については、会社は従業員に対して、休業手当を支払わなければなりません。
例えば、経営不振によって従業員に休業を命じた時や、内定者の勤務開始日を繰り下げた時などが該当します。
会社の都合により従業員が勤務することができない場合に、会社が補償しなければならない賃金のことを休業手当といいます。
1日あたりの休業手当金額の計算方法は、月給制の場合では次のようになります。
(過去3カ月間の給与総額/過去3カ月の総歴日数)×60%以上
※直近の賃金締め切り日から過去3カ月間をとって計算します。
地震などの天災で勤務ができなくなった場合に、給与の支払いはどうなるでしょうか。
地震や台風などの天災が原因で働けない場合、この不就労は従業員の都合でも会社の都合でもありませんので、会社は給与を支払う必要がありません。
天災によって交通機関がマヒしてしまい、従業員が勤務できない場合では、会社は従業員に給与を支払う必要はありません。
交通機関が使えないのは、従業員本人や会社の責任ではないからです。
仕事中に天災によってケガをした場合には、原則として労災保険を使うことができません。通勤途中に天災に遭ったときも同様です。
例えば、仕事中に地震が起きて、ケガをした場合には労災保険が使えないため、病院では健康保険を使って診療を受けることになります。
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