約20年前に日経平均株価は39,000円近く上昇した後に、バブル崩壊により下げ続け、現在は9,000円台をウロチョロしています。20年前の4分の1の株価です。この株価低迷をてこ入れすべく、税制面でもかなり上場株式は優遇されています。
上場株式等の譲渡所得に対する税率は、現在10%(所得税7%、住民税3%)ですが、平成24年からは20%(所得税15%、住民税5%)になります。
上場株式等の配当に対する税率も、現在は10%ですが、平成24年からは20%になります。
上場株式等の配当金を申告分離課税制度で申告すると、上場株式等の譲渡損と申告した配当金とを損益通算することができます。
なお、源泉徴収ありの特定口座がある場合には、配当所得を特定口座に受け入れることにより、配当金と譲渡損の損益通算が自動的に行われます。
平成24年から3年間、証券会社に開設した非課税口座に取得対価の合計額が100万円以下の上場株式を受け入れると、その上場株式等にかかる配当等が非課税になる制度が導入されます。
非課税口座内の上場株式等を譲渡した場合の譲渡所得税も非課税になります。
3年間で最大100万円ずつ受け入れれば、合計で300万円までの上場株式等を非課税の特例で所有できるわけです。
平成13年9月30日以前に取得した上場株式を今年の年末までに譲渡した場合には、みなし取得費の特例を適用することができます。
株式の譲渡所得は、売却額から売却手数料と取得費を控除することにより計算されます。この取得費は、実際に株式を取得した額で計算するのが原則なのですが、それに代えて平成13年10月1日の終値の80%相当額を取得費とすることができるのがみなし取得費の特例です。
実際の取得費よりみなし取得費の方が高ければ、株式の譲渡取得は少なく計算されますので、節税になるのです。
相続で上場株式を取得したけれども、親の代で取得したことから、取得費が不明な場合があります。このような場合には、株式の譲渡価額の5%を取得費とすることができますが、譲渡価額の95%が譲渡所得として課税されてしまいますので、税金が不利になります。
みなし取得費の特例は今年いっぱいの特例ですので、このようなケースでは、特例の適用要件を満たすのであれば、年内に上場株式を売却して、みなし取得費の特例を適用するのが得策でしょう。
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