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財務戦略としての生命保険

第186_1号 2009年11月

1.はじめに

生命保険は、いざという時の備えですが、使い方次第では会社の武器になる商品です。今回は、生命保険を会社で経営者の退職金として活用する場合を説明します。

2.経営者の退職金の原資として掛ける

従業員の退職金は掛け金が全額会社の損金となる中小企業退職金共済を利用できますが、経営者は利用できません。そこで、経営者の退職金を生命保険を活用して準備するのです。

被保険者を経営者、保険契約者と保険金受取人を会社とする保険に入ります。満期が退職時期になるような保険か、解約返戻金が退職時期にピークを迎えるような保険にします。

掛け金の半額(一部のがん保険は全額)が会社の損金になりますので、その分会社の利益は減るとともに、将来の退職金の原資となります。

3.退職金として支給する

経営者の退職の時期が来たら、掛けていた保険の満期金や解約返戻金が会社に保険会社から入金されます。入金された保険金は会社の益金となり、このままではそれに対して税金がかかってしまいます。しかし心配無用、経営者に支給する退職金が会社の損金になるため、受け取った保険金に税金がかかることはありません。

4.受け取った退職金の税金

退職金の税金は優遇されています。経営者が30年会社に勤続して、退職時に、5千万円の退職金をもらっても、税金は所得税と住民税を合わせて5,814,000円です。手取り額は44,186,000円にもなるのです。

外資系の会社などは、毎月の給料を減らして、その分退職時に退職金として支給し、退職者の納税額が少なくなるようにしているケースもあります。

5.死亡退職金は更に税金が有利

経営者が退職を前に死亡した場合、会社に死亡保険金が保険会社から入金されます。それを原資に経営者の遺族に死亡退職金を支給します。

死亡退職金は、相続税の対象になるため所得税と住民税が課税されません。そして、相続税の計算においても、相続人1人当たり500万円が死亡退職金から控除されます。相続人が3人いる場合は、1,500万円の控除があります。相続人が3人の場合の相続税の基礎控除額は、8,000万円ですから、死亡退職金以外の相続財産が9,500万円(基礎控除額+退職金控除)以下であれば相続税も一切かかりません。相続人は皆ニッコリの状態となります。

6.いざという時の資金にもなる

会社経営はいつも順調というわけには行きません。経営が苦しい時に保険を解約することにより難局を乗り切れることもあるでしょう。また、経営者が突然亡くなっても、保険金が会社に入れば余裕を持って会社の体制を立て直すこともできるでしょう。

7.保険のご依頼はアトラスへ

アトラス総合事務所は、日本生命とING生命の保険代理店をやっています。生命保険のことなら、まずアトラスの税務担当者にご連絡ください。

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