個人が所有する不動産を譲渡すると、取得価額より譲渡価額が高ければ譲渡益が生じ、逆であれば譲渡損が生じます。
いずれにしても生じる金額は高額になりますので、当然それに対する税金が気になります。そこで今回は、個人が不動産を譲渡した場合の税金について説明します。
譲渡所得は、「譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用」により計算されます。
譲渡費用には、仲介手数料、登記費用や測量費などが含まれます。
譲渡所得に対しては、他の所得とは合算しないで別に税率が掛けられます。
譲渡年の1月1日において所有期間5年超が長期譲渡所得、5年以下が短期譲渡所得です。
一定の要件を満たした所有期間が10年超の居住用財産の下記の譲渡所得にかかる税率は次のとおりです。
居住用財産の所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から3,000万円を控除することができる特例です。
5.の優遇税率も重複して適用することができます。
譲渡した年の1月1日現在で所有期間及び譲渡者の居住期間が10年超である場合に、居住用不動産を譲渡して、別の居住用不動産を購入すると、譲渡所得に税金がかからないか、減額される特例があります。
居住用不動産を譲渡して損失が出た場合、一定の要件に該当すると、その損失を給与所得などの他の所得と相殺できるのが損益通算です。損益通算しても他の所得から損失を引ききれないときに、次年度以降の所得と相殺するために損失を繰り越すのが繰越控除です。
この制度には2種類あり、所有期間が5年超で10年以上の住宅借入金がある居住用不動産を譲渡した場合には、「住宅借入金額-譲渡金額」までの譲渡損失を損益通算、繰越控除できます。
もう一つは、所有期間が5年超で、住宅借入金で居住用不動産を買換えた場合に、譲渡損失の損益通算と繰越控除ができる制度があります。
いずれの特例制度にしても、他に細かい適用要件がありますので、適用にあたっては専門家のアドバイスが必要です。
無断転用・転載を禁止します。