貸減価償却とは、建物や備品、車両のように、その資産の価値が徐々に低下していく場合に、その使用可能期間にわたって取得価額を毎期の費用とする手続をいいます。この減価償却に関する大きな改正がこの4月1日からありましたので、説明いたします。
減価償却には残存価額というものがありまして、取得価額の10%が残存価額とされていました。残存価額とは、耐用年数が到来しても未だ存在する減価償却資産の価値のことですが、まず、これが廃止されました。そして、今までは償却可能限度額として取得価額の5%まで償却できるとする規定がありましたが、これも廃止され、減価償却は取得価額の1円まですることができるようになったのです。
取得価額の1円まで減価償却をすることができるようになったことから、当然、減価償却方法も変わりました。平成19年4月1日以降取得して事業に使った減価償却資産から、定額法及び定率法ともに計算式が変わりました。
定額法とは、毎期一定額の減価償却費を耐用年数に亘って計上する方法で、減価償却資産の価値が毎期定額で減っていくという理論です。計算式は次のとおりです。
定率法は、取得した数年は減価償却費を多く計上できるのですが、次第に償却額は逓減して、一定時点からは定額で償却額を計上する方法です。減価償却資産の価値は取得してから数年で大きく落ちて、その後は一定額で落ちていくという理屈です。
別表の「減価償却資産の償却率、改定償却率及び保証率の表」を見ながら理解してください。
まず、取得した年度では
で計算します。
そして次年度以降は
で計算します。
そして、この式で計算された償却限度額が下記の償却保証額
を下回った事業年度から、定率法の計算式が下記のように変わります。
改定取得価額とは、期首帳簿価額のことです。
ここから定額で減価償却費が計算されるのです。
平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、その帳簿価額が取得価額の5%に達した翌事業年度から5年間で、取得価額の1円まで減価償却をすることができます。取得価額の5%に達しない減価償却資産は今までどおりの方法で減価償却を計算します。なお、この5%相当額を5年で償却する規定の適用は、法人にあっては平成19年4月1日以後開始する事業年度から、個人にあっては平成20年からの適用になります。
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