平成19年度の税制改正で業務主宰役員にかかる給与所得控除額を同族会社の所得に加算するという特殊支配同族会社の規定に変更があります。また、12月末には、国税庁から役員報酬に関する情報も提供されています。中小企業にとっては重要な役員報酬の最新情報を解説します。
会社の業務主宰役員の給与を経費として控除する前の所得金額が800万円以下であれば、特殊支配同族会社の規定の適用は受けません。この適用除外要件が平成19年4月1日開始事業年度から倍の1,600万円以下になります。業務主宰役員の給与が1,000万円で、会社の所得が600万円あっても適用除外になるということです。ただし、この1,600万円の判定は、過去3期の平均額になります(設立第1期目は1期目の額で判定)。
業務主宰役員とは誰か?ということが重要です。税務上の役員(登記されてなくても税務上役員となることがあります)で、会社の経営に最も中心的にかかわっている役員。通常は社長が該当しますが、肩書きのみでなく、事業計画の策定、多額の融資契約の実行、人事権の行使等に際しての意思決定の状況や役員給与の多寡などもその判断の要素になります。
特殊支配同族会社の適用除外要件のひとつに、常務に従事する役員のうち、業務主宰役員とその関連者(以下「業務主宰役員関連者」という)以外の役員が全体の半数以上いるということがあります。そこで、常務に従事する役員とは?ということが重要になります。代表取締役、副社長、専務、常務などの職制上の地位を有する役員は該当します。
会計参与や監査役は該当しません。使用人兼務役員については、もらっている給与が使用人部分の金額より役員部分の金額が多い場合には該当することになります。
業務主宰役員関連者が議決権(株主総会等で1票を投じる権利)の90%以上を所有してなければ適用除外となります。この適用除外要件を満たすため、業務主宰役員関連者の意向で議決権を行使してくれる株主を作ることは誰しも考えることです。税法ではそういった株主は、業務主宰役員関連者の議決権とみなすとしています。では、同一内容の議決権行使に同意している者とは?ということが重要になってきます。
同意している者とは、契約や取り決めなどで合意している者、継続的に白紙委任状を提出している者などが該当し、業務主宰役員関連者と緊密な関係にあるというだけでは、同意している者に該当しません。
役員報酬の改定は、会計期間開始から3ヶ月以内に行わなければなりません。しかし、代表者が急逝して急遽その後任になって、それに応じて役員報酬を増額した場合などは、それが認められます。
また、法令違反を犯した役員の報酬をペナルティーとして一定期間減額するとした場合でも、それが認められるという扱いが国税庁から公表されました。
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