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賃金について確認しましょう

第147_2号 2006年7月

1.はじめに

従業員に毎月支払う賃金。賃金の支払には様々なルールがあります。ただ毎月賃金を計算し、支払えばよいというものではありません。ここで、「賃金」について簡単に見ていくことにします。

2.賃金の支払原則

賃金支払には次のルールがあります。これらに従い、確実に従業員へ支払わなければなりません。

①賃金は通貨で支払わなければなりません。
ここでの「通貨」とは、「現金」のことです。原則として給料を「現物」で支払うことはできません。
②賃金は本人に直接支払わなければなりません。
本人以外に支払っても、会社は賃金を支払ったことになりません。
③賃金は全額を支払わなければなりません。
従業員が働いた時間に対する賃金は、控除することなく全額を支払わなければなりません。しかし、欠勤や遅刻、早退などで働いていない時間に対する給料は支払う必要がありません。
④賃金は毎月1回以上支払わなければなりません。
賃金支払日を変更したときに、ある月だけ賃金支払日がなくなってしまうことは避けなければなりません。
⑤賃金は毎月一定期日に支払わなければなりません。
「毎月25日支払」「毎月末日支払」といったように、支払日を定めなければなりません。支払日が特定されないといけないので、「毎月第3月曜日」といったような定め方はできません。

3.割増賃金とは

原則、1日の労働時間は8時間、1週間の労働時間は40時間を超えてはなりません。これらの時間を超えて働かせるためには一定の手続をしなければなりません。また、休日(1週に1日の休日)に働かせるためにも、同様の手続が必要となります。
1日8時間、1週40時間を超えて働かせた場合、休日に働かせた場合には、通常の給与額に一定の割増率を掛けた賃金を支払わなければなりません。

4.最低賃金とは

会社は従業員に賃金を支払わなければなりませんが、支払い賃金額がいくらでもよいわけではありません。支払わなければならない最低額が決まっているので、その額を上回る賃金を支払わなければならないのです。東京都の場合は、現在、1時間あたり714円です。この最低賃金は、時間給従業員だけでなく、日給や月給の従業員にも当然適用されます。

5.最後に

以上、見てきたように、賃金は適正に決められ適正に支払われなくてはなりません。賃金不払い等の問題が起きないように、賃金額が著しく低くないかどうか、働いた時間に対してきちんと賃金を支払っているかどうかを確認しましょう。

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