社員が仕事以外で傷病にかかり、それが原因で仕事に就くことができず休職する場合があります。このとき、休職期間中の賃金や社会保険はどのような取扱になるのでしょうか。以下見ていくことにします。
休職とは何らかの理由により社員が会社で働けない状態になることです。傷病にかかり出社できない場合、留学や出向を理由として出社できない場合など、休職には様々な理由があります。
ここでは、傷病により社員が出社できない場合について見ていきます。
社員が仕事以外でかかった病気やけがにより仕事に就けない期間については賃金の支払い義務はありません。ただし、会社の規則中に、休職期間中にいくらかの手当を支払う定めがあれば、それに従い手当を支払う必要があります。
休職期間中の社会保険料は免除になりませんので、毎月保険料を納付しなければなりません。今のところ、申請によって社会保険料が免除されるのは育児休業期間中のみです。したがって、休職期間中に給与の支払をしない場合は、いつものように社会保険料を給与から天引きできないわけです。
このようなケースでは、休職期間中の社会保険料を会社が立て替えておき、休職が終了してから立て替えた保険料を社員に請求するのが一般的です。また、後でトラブルにならないよう事前に休職時の保険料徴収方法について社員に説明し、同意を得ることも重要です。
「仕事以外の病気やけがが原因で仕事に就けない日について、社会保険から社員へ給付がなされます。これは、健康保険の傷病手当金で、支給期間は支給開始日から1年6ヶ月です。また、支給額は給与額のおよそ6割となります。
この傷病手当金は国民健康保険からは支給されませんので、これは社会保険加入のメリットの一つといえます。
休職時によくトラブルとなるのが、休職後の対応です。会社としては社員の傷病が完全に治癒し、休職前の業務に従事できることを望むはずです。会社は傷病の治り具合を把握し、職場に復帰できるかを判断しなければなりません。はたしてどのように判断すればよいのか迷うところです。また、なかなか職場復帰ができない場合に、解雇してよいのかどうかも迷うところです。
これらの問題は、就業規則を作成し、すべてルール化させてしまえば対処できるものです。従業員10人以上の事業所では就業規則の作成が義務付けられています。 「休職」は社員とのトラブルが深刻になりやすい問題の一つです。事前の対処でトラブルを回避しましょう。
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