新会社法が来年の5月から施行されることになりました。資本金1円から会社が作れるようになりますが、有限会社の設立はできなくなります。新会社法では、有限会社の制度自体がなくなるわけなのですが、では現在ある有限会社はどのような扱いになっていくのかを見てみましょう。それと、現在特例法で認められている1円会社の今後についても見てみましょう。
来年の5月から有限会社法は廃止され、現在ある有限会社は、自動的に「株式会社」として存続することになります。 つまり、有限会社の定款は株式会社の定款とみなされ、有限会社の社員は株式会社の株主とみなされます。そして、有限会社の社員が持っている持分は、株式とみなされ、出資一口は株式一株とみなされます。定款の変更や、変更登記をすることも必要ありません。 このような特例的な扱いとなる現在ある有限会社は、「特例有限会社」として新会社法適用後も、現在の有限会社としての特徴をそのまま維持しながら存続することになります。
現在の有限会社が特例有限会社として来年5月以降も存続していくためには、その商号中に有限会社という文字を使わなければなりません。もし、株式会社と誤認されるような商号を使用した場合には100万円以下の過料に処されます。
有限会社を設立するメリットとしては、役員が1人でもできる、決算公告(決算書を官報等で公開する)不要、取締役の任期が無期限といったことがあります。改正会社法では、役員が1人でも株式会社を設立することができるため、一番目のメリットは特になくなりましたが、その他のメリットはそのまま引き継がれます。
現在の有限会社は、特例有限会社としていつまで存続できるのかは気になるところです。しかし、心配ありません。無期限で存続できます。
現在の有限会社が新会社法施行後に株式会社の商号を使うには登記が必要になります。特例有限会社解散の登記と、株式会社設立の登記を行わなければなりません。 登記費用は、登録免許税6万円と司法書士報酬が約5万円の計11万円ほどかかります。
新会社法では、最低資本金制度は撤廃されました。したがって設立してから5年内に資本金を増やす必要もなくなったわけです。しかし、定款と登記事項証明書に「5年内に資本金を・・・」という記載が残ってしまいますので、この記載を抹消するには定款変更の登記が必要になります。
登記費用は、登録免許税3万円と司法書士報酬が約3万円の計6万円ほどかかります。
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