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LLPって何?

第137_1号 2005年09月

1. はじめに

LLPという言葉をよく目にしたり、耳にしたりします。Limited Liability Partnership の略です。Limited Liabilityは、有限責任のことで、Partnershipは組合のことです。日本では、有限責任事業組合という名称で、法律が今年の8月1日から施行されています。しかし、これだけでは何のことか分かりませんね。以下簡単に分かりやすく説明いたします。

2.LLPは何者だ!

有限責任事業組合は、二人以上の事業者が組合契約を結んで成立する組織体です。各事業者が出資金を出し合い、株式会社と同様に登記所で登記をします。

3.税金の扱いが特殊

LLPは有限会社や株式会社とは税金の扱いが決定的に違います。

有限会社や株式会社が稼いだ利益は、法人税という形で課税されます。そして出資者は、法人税が課税された残りの利益を配当金という形でしかもらうことはできません。法人が稼いだ利益は、まず法人税が課税され、その残りの利益も出資者に配当されることにより所得税が課税されるのです。つまり2重課税になっているのです(税法も配当控除などで2重課税を薄める手立ては取っています)。

しかし、LLPの税金の扱いは全く違うのです。LLPが稼いだ利益に対しては、株式会社のように法人税が課税されることはありません。LLPが稼いだ利益は、LLPの構成員である出資者の利益として、直接出資者に課税されるのです。

4.利益の配分が自由

株式会社や有限会社で配当をして出資者に利益を還元する場合、その利益の配分割合は、出資口数の割合によります。つまり、多く出資している出資者が、多くの配当を受けるというわけです。

しかし、LLPでは出資割合とは違う利益の配分割合を自由に決められます。お金をいっぱい出す出資者、頭脳を提供する出資者、労働を提供する出資者などにより柔軟な利益の配分が可能なわけです。なかなかの使い勝手ですね。

5.損失も配分される

LLPで生じた利益だけでなく、損失も出資者に配分されます。「損失が配分されても嬉しくない!」と言うかもしれませんが、そうではないのです。

もともと別の仕事で所得のある事業者が何人か出資してLLPを立ち上げたとします。そのLLPで利益を上げれば、出資者のもともとの所得に加算され、万が一損失が出ても、もともとの所得から差し引けるのです差し引ける損失の額は各組合員の出資額の範囲内に限られます)。つまり、失敗してもある程度リスクをヘッジできるというわけです。

6.利益の配分は給与ではない)

株式会社や有限会社の役員である場合は、会社から給与という形で報酬をもらうことができます。給与には給与所得控除という税法で定めたサラリーマンの経費を給与額から控除して所得税が計算され、有利な扱いとなっています。しかし、LLPの利益の配分は給与所得とはされないので、この分税金が不利であるということができます。

この点も考慮して、法人形態を選択する必要があるかも知れません。

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