毎年、6月後半に社会保険事務所から算定基礎届提出の通知が送られてきます。今年もそろそろ事業所に通知がやってくる頃です。届出書類を作成する際は、対象従業員とそうでない従業員を明確に把握しておく必要があります。
社会保険適用事業所においては毎年算定基礎届の提出が義務付けられています。4月、5月、6月の3ヶ月間の給与額(報酬額)を基にその年の9月からの保険料を決定します。5月に資格を取得した従業員は5月と6月の給与を基に保険料を決定します。これらを定時決定といいます。9月分の保険料から変更されるので、10月支給の給与から変更後の保険料が控除されることになります。今年から平成29年まで毎年、厚生年金保険料が9月に引き上げられますので、定時決定で保険料が上がる場合には、同じタイミングでさらに保険料が上がることになります。
算定基礎届の対象となる従業員は、7月1日に被保険者である従業員です。ただし、6月1日以降に資格を取得した従業員は対象外となります。また、7月、8月、9月に月額変更予定の従業員も算定基礎届の対象外です。4月に給与額の変更があり、7月に月額変更届提出の必要がある従業員については算定基礎届の提出に換えて月額変更届を提出します。
7月1日に被保険者である従業員が算定基礎届の対象者ですので、6月30日に退職した従業員は対象外で、7月1日に退職した従業員は対象となります。社会保険の資格喪失は退職日の翌日ですので、6月30日退職の場合は7月1日が喪失となり、7月1日には既に資格を喪失していることになります。また、同じように考えると、7月1日退職の従業員は7月2日に資格を喪失しますので、7月1日時点では資格をまだ喪失していないことになります。
育児休業が終了し、子を養育しながら働く場合、給与が下がることがあります。このような時に申出をすることで、下がった給与に応じた保険料を納めることができます。つまり、給与が下がったにもかかわらず、下がる前の給与に基づいた高い保険料を納める必要がなくなることになります。これを育児休業等終了時改定といい、3歳未満の子を養育する場合に適用されます。
7月、8月、9月に育児休業等終了時改定の提出予定の従業員は算定基礎届の対象外となります。
病気欠勤で4月から6月までの給与が支払われなかった時や、給与の一部が遅配された時などについては特殊な扱いをしますので、書類作成時にはご注意ください。
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