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内部統制って何?

第134_1号 2005年06月

1.はじめに

新聞に「内部統制」という聞き慣れない言葉がよく出てきます。今日の新聞(6月15日)にも、「上場会社の経営者に内部統制が有効に機能していることの証明書を出させる」との記事がありました。今回は、この内部統制について見ていきましょう。

2.会計士が得意

内部統制(Internal Control)とは、会社内部における組織的なチェック体制のことを言います。公認会計士の専業業務である会計監査においては、まずこの内部統制の有効性をチェックします。会社内部での組織的なチェック体制が整っていれば、組織内部での不正や誤謬は事前に防げ、それにより会計データの信憑性も保てるものと考えるからです。

公認会計士協会から出版された「内部統制のチェックリスト」というもので監査対象会社の内部統制をチェックしていました。ですから、内部統制は会計士の得意分野と言えるのです。

3.内部統制って具体的には?

現金の管理を例に説明します。現金そのものの管理から現金出納帳の記入、銀行からの現金の引き出しをすべて同一人が行って、そして誰もそれをチェックしません。このような状況では、現金管理担当者が私用で手にした領収書を会社のものとして、引き換えに現金を懐に入れてもバレません。

 現金そのものを管理する人と、現金出納帳を記帳する人を分け、更に両者の業務を日々別の人がチェックして承認するシステムを入れれば、現金をネコババすることもできません。このシステムが内部統制なのです。このような、金銭管理だけでなく、商品の発注→納品→検品→支払、在庫管理、商品の受注→納品→請求→入金といった一連の業務について、全社的な内部統制が要求されます。

4.すべて内部統制欠如のせい?

世界的な会計事務所であるアーサーアンダーセン会計事務所は、エンロン事件で姿を消しました。NHKの制作費詐取も受信料拒否で大問題です。三菱自動車のリコール隠しは、まだ尾を引いています。

これらの事件の原因として内部統制の欠如が挙げられているわけです。確かに組織的なチェック体制が有効に機能していれば、これらの不正は理論的には事前に防げることになります。しかし、実際はどうでしょう?ある程度権限のある者が組織的に結託したら内部統制も無力だと思うのですが?

5.内部統制の弊害

 監査法人に勤めている会計士が言っていました「内部統制のチェックリストどおりのチェック体制を作ったら業務が回らなくなった」と。これは本当の話で、やはり程度問題ということです。実際、アメリカでは内部統制組織を整備運用するための費用負担が社会問題化しています。

6.中小企業はどうしたらよいか?

内部統制を有効にするには、業務分担のための人員が必要です。しかし、中小企業はそんなことはできません。でも、「何でも従業員が1人で、すべてをできないようなチェック体制」は作る必要があります。もう一度、業務体制を見直してみましょう!

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