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人材投資促進税制

第132_1号 2005年04月

1.はじめに

平成17年度の税制改正で、人材投資促進税制という制度ができました。社員の教育訓練費を使うと税金が安くなる、というありがたい税制です。今回の税制改正の目玉ともいえる制度ですので、その内容について解説します。

2.適用者は?いつまで適用?

この制度を適用できるのは、青色申告書を提出する法人又は個人事業主です。

適用事業年度は平成17年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する事業年度です。

3.どのくらい税金が安くなる?

当期の教育訓練費の額が、前2事業年度の教育訓練費の平均額を超えた額の25%相当額だけ税金が安くなります。しかし、法人税額の10%が限度です。

(当期の教育訓練費 - 前2期の教育訓練費 ÷ 2) × 25%
= 税額控除額 (法人税額の10%限度)

4.中小企業には特例があります

資本金1億円以下の中小企業は、当期の教育訓練費の額に、教育訓練費増加率(40%が限度)の1/2の割合を掛けた額だけ税金が安くなります(法人税額の10%が限度)。

当期の教育訓練費 × 教育訓練費増加率 × 1/2 (40%が限度)
=税額控除額 (法人税額の10%限度)

教育訓練費増加率は、次の式で計算されます。

当期の教育訓練費-前2期の教育訓練費÷2
前2期の教育訓練費÷2

なお、3と4は選択できます。

5.教育訓練の対象者は?

法人または個人事業者の使用人(正社員、契約社員、パート・アルバイト、請負社員、派遣社員等)です。法人の役員や個人事業主とその親族および採用内定者は対象外。

6.教育訓練費の内容は?

  1. 自ら教育訓練を行う場合に招聘した外部講師に対する報酬・交通費・宿泊費・食費等。
  2. 自ら教育訓練を行う場合に使用する外部施設や設備等の使用又は賃借に要する費用。研修施設、会議室、実習室、教育訓練用シミュレーター、OHP,プロジェクターなどの使用料、イーラーニングの教育訓練用コンテンツの使用料などです。
  3. 他の者に教育訓練を委託する場合に支払う費用(講師の人件費、教材費、施設使用料等の委託費)。民間教育会社、商工会議所、大学、専修学校等への研修委託です。
  4. 他の者が行う教育訓練(講習会、研修セミナー、検定試験等)に参加させる場合の授業料、参加料、受験料などの費用。
  5. 教育訓練のために直接使用する教科書その他の教材の費用。

7.その他の事項

教育訓練のために給付を受けた助成金は教育訓練費から控除します。

また、新設法人の、設立の日を含む事業年度はこの制度の対象外となります。

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