現行の商法では株式会社1千万円、有限会社3百万円の最低資本金制度が規定されています。一方、この規定の例外として新事業創出促進法に基づく資本金1円から起業できる1円会社が昨年からできるようになりました。当事務所でも20社以上設立のお手伝いをさせていただきました。
6月9日の法制審議会において、「1円起業」を恒久的な制度として、現行商法の最低資本金制度を廃止する方針を固めたということです。これで資金がなくても会社を興してビジネスをすることが誰でもできるようになりました。
現在行われている新事業創出促進法に基づく1円会社は、起業してから5年内に増資して最低資本金をクリアーする必要があります。
つまり、資本金50万円で設立した株式会社においては、5年内に金銭等を追加出資して資本金を1千万円以上とするか、会社で計上した利益を資本金に組み入れることにより資本金を1千万円以上とする必要があります。
有限会社については、利益を資本金に組み入れるという制度がないため、金銭等を追加出資して資本金を300万円以上にする必要があるのです。
5年内に最低資本金を満たせない1円会社はどうなるのでしょうか?
最低資本金を満たせない株式会社は、5年後に資本金が300万円以上あれば、有限会社に組織変更することができます。
300万円以上ない場合は、合名会社・合資会社へ組織変更することができます。
5年後に最低資本金を満たせない有限会社は、合名会社・合資会社へ組織変更することができます。組織変更もしない最低資本金を満たせない会社は解散されてしまうのです。大変なことです。
既に1円会社を起業された方に朗報です。1円起業の恒久化により、5年後に最低資本金を満たせなくても組織変更も解散もする必要がなくなりそうです。
現行の商法の規定による通常の株式会社及び有限会社を設立するにあたって、問題となるのが出資金の金融機関による証明書です。
「会社設立前から金融機関と取引がなければ発行できない」とか、ひどい金融機関だと起業者の風貌や身なりでもって「うちでは証明書を発行できない」とか、年齢が若い起業者で実際にあった話で、証明書の発行を1ヶ月待たされたケースもあります。
現行の1円会社の設立手続においては、この金融機関の払い込みの証明書が不要ですので、手続も恒久化されれば誰でも簡単に会社を興すことが可能になります。
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