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相続税の連帯納付義務

第121_1号 2004年5月

1.はじめに

土地の価格が下がり、相続税を納めるケースが少なくはなりましたが、今回は相続税の連帯納付義務という怖い制度のお話です。なにせ、自分が納税すべき相続税を既に税務署に納税しても、他の相続人が相続税を納税しないと、その分も負担して納税しなくてはならないからです。信じられないことですが、現行の制度として機能しているのです。

2相続税の納税の仕方

相続税を納めるには大きく3つの方法があります。

 
(1)一般的な納税
相続税の納期限は相続があったときから10ヶ月です。この納期限内に相続税を金銭で支払うのが一般的な納税です。
(2)延納
相続税を納期限までに金銭で納付することが困難な場合に利用できる分割払い制度です。担保を提供することが条件で、最長20年に亘って分割納付をすることができます。
(3)物納
物納は金銭で納税する代わりに有価証券や不動産などで納税する方法です。しかし、物納をすることができるのは相続税を延納によっても金銭で納付することができない場合です。

3.相続税を納めなかったら・・・

各相続人は取得した財産に応じて計算された各人ごとの相続税を、上記のいずれかの納付方法により定められた納期までに納税する義務があります。各相続人が責任を持ってこの相続税を納税すれば何も問題がないのですが、相続人の一人が自分の相続税を納めなかった場合にはどうなるのでしょうか?

まず、税務署は相続税を支払わない相続人に督促状や督促の電話により納税を促します。それでもダメな場合は財産の差し押さえに動き、それでも回収のめどが立たなかった場合は、さぁ大変!他の相続人に「相続税の連帯納付義務のお知らせ」が送られてきます。それにビックリして慌てふためいていると、今度は督促状という形で、「滞納している相続税額と延滞税を直ちに支払え!」と来ます。これが相続税の連帯納付義務です。なんとも非情な制度です。

4.20年間安心できない?

相続税を分割払いする延納は最長20年です。つまり相続人のうちの誰かが20年の延納を組んでいる場合、他の相続人は20年間連帯納付義務が生じる危険性にさらされるわけです。20年間となると本当に何が起きるか分からないですよね。

5.贈与税でも連帯納付義務がある

連帯納付義務は贈与税でもあるのです。親が道楽息子に1,500万円の贈与をしました。息子は期待に違わずギャンブルと風俗ですべてそのお金を使い果たしました。さて、贈与税の確定申告時期が来て贈与税の申告をしたものの贈与税525万円を払うお金がなく税金の滞納です。この場合、贈与した親に贈与税の連帯納付義務が生じ、親にその贈与税の納税義務が生じるのです。なんとも物悲しい結末ですが、これが現実の相続税・贈与税法の規定です。

 
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