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欠損金と法人税

第114_2号 2003年10月

一般の会社が欠損金を出せば、銀行のように公的資金の注入により救済されるということはありませんが、税金を安くできる制度があります。

1.欠損金の繰越控除

欠損金が生じた事業年度から、翌事業年度以降5年間繰越して、その欠損金をその後の事業年度の所得金額から損金として控除できる制度です。

1) 適用要件

欠損金を生じた事業年度で青色の確定申告書を提出(期限後申告も含む)し、かつ、その後に連続して確定申告書を提出(期限後申告も含む)していなければなりません。

無申告の事業年度以降は、繰越控除は認められません。

2) 控除額

次のいずれか少ない金額です。(古い年度のものから先に控除されます。)

  • イ. 当期の所得金額
  • ロ. 前5年以内の年度の欠損金額

(すでにこの制度で損金算入された金額または繰戻し還付で使用された金額は除きます。)

3) 活用のポイント

欠損金が生じた年度の翌5年間においてはどれほど利益を出してもその欠損金の範囲内であれば法人税は課税されません。

ですから、なんとしても翌5年間で欠損金に見合う利益を出すことが法人税の節税になります。

経営努力による業績の向上が本筋ですが、減価償却等の抑制役員報酬の引下げ等も検討すべきです。

特に役員報酬の引下げは源泉所得税等の減少により、法人と個人合わせての税負担の減少を実現できます。

2.欠損金の繰戻し還付

欠損金をその生じた事業年度の前1年以内の事業年度の所得金額に繰戻して、その欠損金に相当する法人税が還付される制度です。

つまり前年度は利益が出て法人税を納付したのだが、今年は欠損が出てしまったので、その欠損を前年度に持っていって、その分納付した税金を返してもらおうということです。

1) 適用要件

  • 還付所得の年度から欠損の年度まで連続して青色確定申告書を提出していること。
  • 欠損の年度は期限内申告で、同時に繰戻し還付の請求書を提出すること。

ただし、この制度は特定の場合を除き、平成16年3月31日までに終了する事業年度の欠損金について適用が停止されています。つまり、現在ほとんどの法人で利用できません。

2) 活用のポイント

この制度が利用できる特定の場合とは、解散、営業譲渡等の場合のほか次のような場合があります。

  • 中小企業者に該当する法人の設立後5年間に欠損金が生じた場合。
  • 中小企業経営革新支援法による特定の中小企業者が欠損金を生じた場合。

繰戻し還付を利用した場合は、必ずといっていいほど税務調査が行われますので、その点も考慮に入れなければなりません。

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